5大法律事務所とは?各事務所の特徴や転職方法を解説
弁護士としてのキャリアを考える際、5大法律事務所を視野に入れる人は少なくありません。日本を代表する5大法律事務所の特徴や転職方法がわかると、今後のキャリアの可能性が広がるでしょう。
この記事では、5大法律事務所のプロフィールや具体的な転職方法について解説します。
- 5大法律事務所とは?
- 5大法律事務所のプロフィール
- 西村あさひ法律事務所
- 長島・大野・常松法律事務所
- アンダーソン・毛利・友常法律事務所
- 森・濱田松本法律事務所
- TMI総合法律事務所
- 新卒の場合
- 中途採用の場合
- 給与や福利厚生が高水準
- 組織体制が整っている
- 大規模な案件を手掛けられる
- 日々の業務で成長できる
- 転職・独立の際に有利になる
- 司法試験での優秀な成績
- 特筆すべき実績
- 強みになる専門性
- 高度な語学力
- 直接応募する
- ヘッドハンティングされる
- 転職エージェントを利用する
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5大法律事務所とは?
5大法律事務所とは、日本で最も規模の大きい法律事務所の総称です。所属弁護士数が多く、一つの事務所に400人以上が在籍すると言われています。中規模の法律事務所の弁護士数は10名ほどであるため、人数が極めて多いと言えるでしょう。
また、5大法律事務所はクライアントの規模も大きく、個人でなく企業相手の案件が多いことも特徴の一つです。また、海外案件を取り扱うケースも多く、所属する弁護士には高い語学力が求められます。
5大法律事務所のプロフィール
ここでは、法律事務所ごとの得意分野や、海外拠点が幅広い点を理解しましょう。
西村あさひ法律事務所
西村あさひ法律事務所は、提携先を含めると所属弁護士数が800名を超える日本最大規模の法律事務所です。1966年に東京で設立され、何度か統合を行ったのち2007年に現在の形態となりました。東京をはじめとする5つの拠点に加え、海外にも事務所を構えクライアントの幅広いニーズに応えています。
取り扱うジャンルは多岐にわたり、企業法務や金融、倒産・事業再生、争訟、独占禁止法、知的財産などさまざまです。所属する弁護士は多彩な職歴を持つ人材が多く、個人単位でも対応できるジャンルの幅が伺えます。
参考:西村あさひ
長島・大野・常松法律事務所
長島・大野・常松法律事務所は、弁護士が500名ほど所属する日本の大手法律事務所です。2000年に2つの法律事務所が統合し、現在の形態として20年以上運営を続けています。長い歴史の中で、アジア各国やニューヨークなど世界にさまざまな拠点を設けてきました。
業務内容は銀行・金融、キャピタル・マーケット、紛争解決、保険法、税務など多岐に渡ります。また、効率的で質の高いサービス提供のために、AIを用いたリーガルテックの導入を行う最先端の法律事務所です。データ分析により、さまざまな分野でワンストップの法的サービスを提供しています。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、所属弁護士数500名以上を誇る大手法律事務所です。1950年初頭から日本で第一線として活躍してきた法律事務所が合併し、現在の形態となりました。東京をはじめとする国内3箇所の事務所のほかに数々の海外拠点を構え、世界の幅広いニーズに応えています。
得意なジャンルは多岐にわたりますが、中でも国際法務分野はアジアをはじめとする海外から高い評価を得るほどです。海外クライアントの比率が高い上、多くの外資系企業から信頼を獲得しているためワールドワイドな法律事務所と言えるでしょう。
森・濱田松本法律事務所
森・濱田松本法律事務所は、2023年9月時点で所属弁護士数700名を超える国際的な法律事務所です。2002年に2つの弁護士事務所が統合して以来、20年に渡ってさまざまなクライアントのサポートを行ってきました。日本の5つの拠点から国内の課題に取り組むほか、アジア各国にも幅広く事務所を構え国際的な案件にも携わる組織です。
金融・キャピタル、訴訟・紛争、企業法、投資ファンドなど、多くのジャンルを得意分野としています。また、所属スタッフのワークライフバランスの実現にも取り組んでおり、優秀な人材の確保にも力を入れる法律事務所です。
参考:森・濱田松本法律事務所
TMI総合法律事務所
TMI総合法律事務所は、2023年9月時点で所属弁護士数が500名を超える大規模な法律事務所です。1990年の設立から長きに渡り、プロフェッショナルサービスへの需要に応えてきました。日本国内では初となる外国大手法律事務所との業務提携を結び、各国と共同事業を行っています。
得意ジャンルはさまざまありますが、弁理士が多く所属しているため知的財産分野が強みです。また、海外進出を次々と進めており、各国に駐在員を置きながらグローバル展開しています。
参考:TMI総合法律事務所
5大法律事務所の平均年収は?
日本を代表する5大法律事務所における、弁護士たちの平均年収が気になるところです。採用のタイミングや就くポジションにより、平均年収が異なることを理解しましょう。
新卒の場合
5大法律事務所へ新卒として所属する場合、年収1,000万円を超えると言われています。一方、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(※1)によると、2019年の弁護士全体の平均年収は男性で530.6万円、女性で457.6万円でした。5大法律事務所に所属すると、入社1年目から平均年収の2倍の額をもらえます。
新卒から入社し3〜5年経つと年収相場は1,500〜2,000万円となるため、給与のアップ率は非常に高いと言えるでしょう。
(※1)参考:厚生労働省 「賃金構造基本統計調査(職種第3表DB)」
中途採用の場合
5大法律事務所へ中途採用で所属する場合、年収は個人の経歴によって異なります。弁護士としての経験が浅い場合は1,300万円から1,800万円、10年以上なら1,800万円から3,000万円となるケースが多いようです。
また、事務所に雇用されるアソシエイト弁護士と、雇用主であるパートナー弁護士でも年収は異なります。パートナー弁護士として転職した場合は、最低でも年収5,000万円になるケースが多いようです。
5大法律事務所で働くメリット
5大法律事務所の大まかなプロフィールがわかったところで、大手で働くメリットが気になる人も多そうです。大規模な法律事務所ならではの、働くメリットがあることを理解しましょう。
給与や福利厚生が高水準
5大法律事務所で働くと給与水準が高い上、福利厚生が充実していることはメリットの一つです。前章でも述べた通り、5大法律事務所に所属すると新卒でも年収1,000万円を目指せると言われています。
また、福利厚生が高水準であり、各種保険や手当、研修制度が充実していることも特徴です。研修制度を上手に利用しキャリアアップのきっかけを作れば、さらなる高収入が期待できるでしょう。
組織体制が整っている
5大法律事務所では、弁護士たちが働きやすくなるよう組織体制が整っているケースが多いものです。優秀な弁護士に継続的に働いてもらうには、仕事環境やプライベートの充実が求められます。
図書館の設置やスキルアップ研修の充実、特別休暇の付与など安心して働き続けられる環境が整っていることも5大法律事務所の魅力の一つです。大手法律事務所ほど、ワークライフバランスについて深い理解を持っているとも言えるでしょう。
大規模な案件を手掛けられる
5大法律事務所に所属していると、ダイナミックな案件を手掛ける機会に恵まれます。知名度があり信頼性が高い5大法律事務所には、多くの案件依頼が寄せられるものです。中には日本経済を大きく動かすような、スケールの大きい案件に携わるケースもあります。
普通では経験できない大規模案件に携われることも、5大法律事務所で働くメリットの一つと言えるでしょう。
日々の業務で成長できる
5大法律事務所には日本のトップクラスの弁護士が集まるため、日々の業務で共に切磋琢磨しながら成長できます。
大規模事務所に所属する弁護士は、さまざまな職歴やバックグラウンドを持つ一流の人材です。大きなプロジェクトにはチームで取り組むため、ほかの弁護士との関わりが多くあります。経験豊富なプロと一緒に仕事をすると知見が養われる上、自身のキャリアにも良い影響があるでしょう。
転職・独立の際に有利になる
業界トップの法律事務所で働いた経歴は、将来転職や独立する際に有利に働きます。5大法律事務所は、経験できるプロジェクトやジャンルが幅広いことが特徴です。
特に、企業法務や渉外案件は、ほかの法律事務所ではなかなか経験できません。プロジェクトに幅広く携わった経歴は、次のキャリアで高い評価に繋がると考えられます。実際に5大法律事務所出身で活躍する弁護士は多いため、自身のキャリアアップが期待できるでしょう。
5大法律事務所で働くデメリット
5大法律事務所での勤務は非常に忙しく、日々の多忙さをデメリットに感じる人は多いようです。大きなプロジェクトに携われる分、処理すべきタスクが多く業務に膨大な時間を要します。
また、海外クライアントとのやり取りは時差を考慮しなければならず、業務時間外の対応も少なくありません。案件規模が大きい分、残業や休日労働が発生しやすくハードワークに感じる人が多いことも知っておきましょう。
5大法律事務所に多い出身大学
弁護士が5大法律事務所に内定するには、出身大学も重要な要素であると言われています。5大法律事務所には、難関ローと呼ばれる日本トップクラスの法科大学院出身者が多いことが特徴です。
出身者は、東京大学法科大学院、慶應義塾大学法科大学院、早稲田大学法科大学院、京都大学法科大学院など名門が大部分を占めています。5大法律事務所を目指す場合、出身大学を見られる可能性が高いことを覚えておきましょう。
5大法律事務所に転職するためには何が必要?
5大法律事務所へ転職するにあたって、求められるスキルや実績が気になるところです。大手事務所ならではの、選考で見られるポイントがあることを理解しましょう。
司法試験での優秀な成績
5大法律事務所への転職では、司法試験での優秀な成績が評価対象となると言われています。大手の法律事務所には毎年応募者が殺到するため、試験で収めた成績が一つの評価基準とされるのです。
具体的には、司法試験の総合順位100位以内が合格の目安とされています。弁護士としての経歴が長くても、司法試験を合格した際の順位が一つの判断基準となることに留意しましょう。
特筆すべき実績
ほかの応募者と比べて、特筆すべき実績があると選考でのアピールポイントとなります。5大法律事務所への応募者は多いため、選考の際にはほかの弁護士よりも優れた能力のアピールが必要です。
「英語がネイティブレベルに話せる」「裁判官として優れた経歴がある」など、ハイレベルな経歴が求められます。別な法律事務所での勤務経験だけでなく、自信を持ってアピールできる実績を探しましょう。
強みになる専門性
弁護士として、特定の分野における専門性を持っていると高く評価される可能性があります。5大法律事務所では、さまざまな得意分野を持つ弁護士がチームを組み、プロジェクトに携わるシステムが一般的です。
大きな案件を解決に導くには、知的財産やITなど多彩な分野の専門知識が求められます。メンバー同士でサポートし合えるよう、特定の分野に詳しい人材がいるとチームで重宝されるでしょう。
高度な語学力
5大法律事務所では国外案件を扱うことが多く、高度な語学力を持っているとチャンスに恵まれやすいと考えられます。5つの法律事務所すべてが海外拠点を有しており、必然的に外国語を使うタイミングが多くなるものです。
5大法律事務所に応募するなら、ビジネスレベルの英語を話せるようにしておくと活躍の場が広がります。英語以外にも、中国語などの多言語スキルがある場合はさらに優遇されるでしょう。
5大法律事務所に転職する方法
5大法律事務所に実際に転職したい場合、具体的な方法についても知っておきたいところです。メジャーな3つの応募方法を知り、自身に合った流れで転職を目指しましょう。
直接応募する
目指したい法律事務所のホームページへアクセスし、自身で直接応募するという方法です。
5大法律事務所のホームページには、新卒や中途採用の求人情報が掲載されています。記載されている必要事項をチェックし、エントリーシートを期限内に作成し申し込みしましょう。
直接応募の場合はエントリーから内定までの流れをすべて自分で行うため、書類作成や面接練習など計画的な準備が必要です。
ヘッドハンティングされる
5大法律事務所の知人がいる人は、能力を買われてヘッドハンティングを受けられる場合があります。
ヘッドハンティングとは、外部で活躍する優秀な人材を紹介で引き入れる採用方法のことです。通常採用とは異なり、企業側から声をかけてくれるため転職での労力が少ない点がメリットと言えます。
ただし、ヘッドハンティングを受けたからといって5大法律事務所の内定が確約するわけではないので、注意しましょう。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用し、プロのアドバイスを受けながら内定を目指す方法があります。
転職エージェントとは、業界のプロが求職者のサポートを行い内定に繋げるサービスのことです。弁護士業界に詳しい転職エージェントも多く、エントリーシートの作成や面接日程の調整サポートまで受けられます。働きながらの転職活動で忙しく、プロのサポートを受けながら内定を目指したい人にオススメです。
5大法律事務所への転職はポイントの整理が肝心
日本のトップ弁護士が集う5大法律事務所は、高収入かつ仕事のやりがいに恵まれる職場です。内定への難易度は高いものの、特有のポイントを押さえると合格圏内に近づける可能性があります。
5大法律事務所を目指すためのポイントを知り、自身に必要な準備を計画的に行いましょう。
2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。