人事異動の時期はいつ?周期や行う理由についても解説
企業の従業員にとって、人事異動はつきものです。「人事異動が、何月くらいにあるのか知りたい」「一般的な企業では、何年くらいの周期で異動があるのか知りたい」など、人事異動のタイミングが気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、人事異動の時期、タイミングとともに、理由やメリット・デメリットについて説明していきます。
- 人事異動が行われる時期はいつ?
- 人事異動の周期はどれくらい?
- 人事異動の種類
- 昇格・降格
- 配置転換
- 職種変更
- 転勤
- 出向
- 転籍
- 評価が低い社員
- 優秀な社員
- キャリアアップを希望する社員
- 組織を活性化させるため
- 社員の成長を促すため
- 部署に欠員が出たため
- 企業戦略のため
- 不正防止のため
- 人事異動は基本的に拒否できない
- 自分に向いているかよく見極めることが大切
- 業務の引継ぎを徹底する
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人事異動が行われる時期はいつ?
人事異動の時期は、企業によってさまざまです。半期や四半期ごとに人事異動を行う企業もありますし、経営方針次第で時期にかかわらず実施する企業もあります。
一般的には、決算期末のタイミングで立てる次年度の要員計画にもとづいて、決算翌月に異動を行う企業が多いです。多くの企業では3月末、9月末が決算ですので、4月1日や10月1日が人事異動の着任日に設定されます。
また、販売業など繁忙期がある業界の場合は、繁忙期が終わるまで待ってから、人事異動を行う企業もあります。
人事異動の周期はどれくらい?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「企業における転勤の実態に関する調査」(※1)によると、「人事異動の頻度が何年ごとであることが多いか」という質問の回答は、企業の規模にかかわらず3年がもっとも多く、次が5年となっています。
正社員規模で1,000人以上の会社では3年が35.5%、5年が19.5%で、3年〜5年の合計では63.7%の割合を締めます。
従業員に、さまざまな分野のスキルを学ばせ能力を向上させる目的で、ジョブローテーション制度を採用している企業では、より周期が短くなる傾向があります。ジョブローテーションは新人教育の一環として行われることも多く、入社1〜3年の従業員の場合は、3ヵ月、6ヵ月、1年など短期間で次々に別の部署に配置されることもあります。
(※1)参考:労働政策研究・研修機構「企業における転勤の実態に関する調査」
人事異動の種類
人事異動には、いくつかの種類があり、それぞれ企業の経営計画や事業計画、部署の人員配置、人材の適材適所への配置などを実現するために行われます。
昇格・降格
昇格と降格は、従業員の働きや目標の達成、貢献などを反映し、決められる人事等級の変更です。昇格は等級が上がり、降格では等級が下がります。
係長から課長、課長から部長など、役職が変わる異動は「昇進」という場合があります。
配置転換
配置転換は、担当部署や職種、勤務地などの変更を伴う異動のことです。企業は、適材適所で人材を配置する必要があります。配置転換されるとき、その人は、新しい配置での活躍を期待されていることが多いと考えていいでしょう。
職種変更
営業から経営企画へ、製造から総務へなど職種の変更を含む人事異動です。従業員本人の希望や持っているスキル・適性を鑑みて、現在の職種よりも能力を活かせる業務に変更する場合もあります。
転勤
転勤は、転居を伴う異動のことです。本社から支社への異動、支社から別の地域の支社への異動などがあります。従業員にとっては、引越ししなければならないので、負担が大きいですが、ポジションによってやりがいのあるものになります。
出向
出向は、企業との労働契約が維持された状態で、他の企業に出向いて働くことです。関連会社や子会社に行くことが出向の例として知られています。出向の場合、従業員の籍は元の企業のままですが、業務の指示を出すのは、出向先の企業です。
転籍
転籍は、元の企業の籍から、異動先の企業に再就職することをいいます。転籍には、2つの企業の合意と、従業員の同意が必要です。
人事異動の対象になりやすい社員とは
人事異動には、ポジティブなものとネガティブなものがあります。ポジティブなものは、優秀な人材に経験を積ませることや、部署の活性化のために新鮮な人材を起用するなどです。ネガティブなものは、成果の出せない従業員に新しい環境を与えてモチベーションを向上させるような場合です。
それぞれ、異動の対象になりやすい従業員像というのがあります。
評価が低い社員
現在の部署で、あまり良い成果が上げられていないために人事評価が低い人の場合です。具体的には、コミュニケーションが下手で営業が向いてなかったり、スケジュール管理がずさんで事業の進捗管理が上手くできなかったりという従業員です。
そのような人材には、その人の持つ良い能力を生かすことができる部署に異動することが、成長や育成につながるケースもあります。
また、トラブルが多かったり、人間関係に問題があったりする人も、異動の対象になりやすいです。異動により、環境を変えていけば、そういう性格に変化を与えることもできるのでは、という人事側の心遣いによるものです。
優秀な社員
将来の幹部候補として期待するような従業員には、積極的にさまざまな部署やポジションを経験させ、実績や成功体験を積ませたいと、経営者や人事は考えています。
優秀な人材とは、会社のビジョンに従って戦略的に業務を遂行する力や、同僚や上司など周囲の人々と申請関係を築くことができるコミュニケーション能力を持つ人などのことです。
企業の悩みの一つが、優秀な人材ほど、離職してしまうことです。そのような従業員には、企業として明確なキャリアプランや目標を提示することや、先輩幹部や経営者との交流機会を持たせ、ロールモデルを見せることが重要です。
そのため、さまざまなタイプの先輩幹部の元で経験を積ませる目的で、異動させることもあります。
キャリアアップを希望する社員
従業員には、積極的にキャリアアップを目指す人もいます。自らのビジネススキル、知識、知見を広めながら、積極的にセミナーや講座などを受けたり、熱心に資格取得したりする熱心なタイプの人です。そのような従業員は、自分のキャリアアップのために、企業内のさまざまな部署を経験したいと考えています。
企業の人事は、営業のスキルを身につけたい、マーケティングを実践的に学びたいなど従業員の希望に応えて、頻繁な人事異動を行うことがあります。また、社内公募制度やFA制度を導入する企業も増えています。
意欲的な人材は、企業の経営ビジョンや事業計画などにも明るいため、将来有望な人材として人事異動が多くなるのです。
人事異動を行う理由
企業にとって、従業員の能力を十分に活かし、事業を運営することで、全体の利益を最大化することが重要です。そのためには、限られたリソースである人材を最大限に活かさなければなりません。人事異動は、短期と中長期と両方の視点で、人材の有効活用を目指す施策なのです。
人事異動を実施する具体的な理由を見ていきましょう。
組織を活性化させるため
人事異動は、部署やチームなどに、新鮮で活性化された状態をもたらすことができます。
企業の組織は、長期的に同じメンバーのままだと、馴れ合いやマンネリ化により、業務効率が低下します。結果、ミスやトラブルが生じることもあるでしょう。
また、従業員は、同じ部署で長く業務を続けているうち、担当している業務のことしか見えなくなります。そうなると、現在従事している業務以外の知識やスキルを身につける機会を失うことになりかねません。
従業員一人一人ひとりの持つポテンシャルを最大限発揮させ、企業の利益につなげることは、企業にとって重要な課題ですので、人材の定期的な異動は大事です。
タイミング良く異動させることで、異動した従業員には慣れない環境や新しい人間関係の中での成長機会を与え、受け入れた組織は異なる考えや知識・スキルを持つ従業員による刺激と環境変化を与えます。
社員の成長を促すため
人事異動は、従業員の成長を促すためにも活用されます。
従業員は、新しい環境や業務に携わるようになることで、それまで培ってきた知見とは違うノウハウを取得することが可能でしょう。たとえば、同じ営業職でも、担当クライアントが変わることで、プレゼンテーションの方法や、見積もりの粒度、会議の進行まで変化します。また、営業からマーケティングなどのように、職種変更を伴う異動の場合は、それまでとは違うスキルや知識を身につけなければなりません。
企業の半数程度は、人材育成のために、ジョブローテーションを導入しています。ジョブローテーションは、さまざまな職種を経験させますので、それぞれの業務に特有のスキルや知見を学ぶことができます。ジョブローテーションは、新人育成の一環で入社から数年の間に行われることが多く、従業員の適正を見極め以降の育成に役立てる目的もあります。
部署に欠員が出たため
部署の欠員を補充する目的や、事業拡大や新規事業部の立ち上げに伴う人材補充のために、人事異動が行われることがあります。
新規事業では、さまざまな部署から従業員を選定しますが、新しい環境への適応力がある人や、リーダーシップ、コミュニケーションに長けた人を集めることが重要です。
また、管理部門である経営企画や人事、経理、会計などの部署では、個人の都合で欠員が出ることもあります。そのような場合、別部署で適正のある従業員から補充しなければなりません。社内公募で対応することもありますが、人事評価を元に従業員を異動させることがあります。
企業戦略のため
経営資源の一つ「ヒト」。その価値を最大限に発揮させ、経営戦略を踏まえた人事を行うために、人事異動を積極的に活用する企業があります。企業の業績向上を目的とした人事を、「戦略的人的資源管理(Strategic Human Resouse Management)」と呼び、今後の組織運営でのテーマの一つです。
環境の急激な変化により先が読みにくい状況のなか、迅速性と、変化への対応力を併せ持つ組織デザインを行うためには、時代に適合したスキルと知識を持った従業員を育てる必要があります。
人事や経営側は、従業員の能力や価値を常日頃から把握しておき、必要に応じて異動を活用して、優秀な人材を適材適所に配置するのです。また、経営戦略上重要な新商品・サービスをローンチする際には、優秀な人材を異動させてチームを一新することもあります。
日常的な人事異動、欠員補充や新規事業での人事異動に比べて、より経営の意志やビジョンを反映し、企業の成長を支える人事異動の形です。
不正防止のため
長い期間同じ部署にいると、従業員と仕入れ先やクライアントの間に不正取引が行われることがあります。具体的には個人的なキックバックなどの金銭授受が常態化するような事態です。そのような事態は、同じ部署に居続けた従業員が不正の窓口になることにより起きます。それは、企業に損失を与えるだけでなく信用に関わる問題ですので対処が必要です。
金銭授受による不正だけでなく、品質不正も企業にとって大きな問題です。業務に慣れてしまった従業員のなかには、製品の検査や品質チェックを怠る者が出てきます。そのような事態も、企業にとっては大きなマイナスになりかねません。
長期にわたる同じ部署での勤務は、従業員同士や従業員と取引先との癒着を産みやすく、それは不正に繋がってしまいます。一定の期間で人間関係を白紙に戻すとともに、不正を部署に蔓延らせない、不正行為を引き継がせないために、人事異動を行うことは効果的です。
人事異動を承諾すべき?気をつけたいポイントとは
従業員にとって、人事異動は避けられないものですが、内示を受けた際はどのように対処すべきでしょうか。人事異動を受けたときの対応と気をつけたいポイントを説明します。
人事異動は基本的に拒否できない
人事異動は、法令上、基本的に拒否する事ができないとされています。
労働契約法8条により会社は業務上必要がある場合に、就業する場所と従事する業の変更を命じることができるからです。
また、必要に応じて、在籍のまま関係会社に出向させることも認められています。そのどちらも従業員側は正当な理由なく拒む事ができません。
しかし、従業員は、「正当な理由」があれば人事異動を拒否することができます。
- 雇用契約書に記載されている勤務地、職種とは別の場所への転勤や職種変更
- 上司の職権乱用と認められる場合
- 介護や育児のために、転居が困難な場合
- 正社員でない場合
などです。
それらに当てはまる場合、内示を受けた段階で、理由をのべて異動の再検討を交渉すると良いでしょう。ただし、正当な理由なく人事異動を拒否するのは、職務規定に違反することもありますので、気をつけてください。
自分に向いているかよく見極めることが大切
人事異動の内示を受けたら、異動する部署や職種が自分に向いているかどうかをしっかりと見極めることが大切です。
人事異動では、これまで取り込んできた業務とは明らかに違う職種や部署への異動を、言い渡されることもあります。そういうときには、内示を伝える上司が、異動の目的・理由とともに、期待していることを説明していくれるでしょう。
異動先で期待される業務や行動を把握して異動に備えるとともに、足りないスキルや知識を整理し情報収集をするなどの準備が必要です。
異動先によっては、自分には向いていないと思うこともあるでしょう。しかし、基本的に人事異動は、理由なく拒否することができません。異動に納得感がなくても受け入れて、できるだけ早期に、成果を出せるように心を切り替えたいものです。
一見、ネガティブに感じる異動にも、企業の意図が必ずあります。内示のときに、上司に真意を尋ねたり、自分の将来について企業が考えていることを教えてもらうことも、モチベーションを維持するのに大切なことです。
どうしても納得できない場合は、転職を考えても良いでしょう。
業務の引継ぎを徹底する
人事異動では、自分が担当している業務やクライアントを、別の担当者に引継ぐことが重要です。引継ぎが徹底していないと、異動した後にフォローしなくてはならないことが多発します。それは、新しい担当にとっても自分にとっても、時間と工数がかかり非効率なことです。異動先で早期に成果を出さなければならないというプレッシャーのなか、それらのフォローは、集中を妨げるものになってしまいます。
異動のあとも、多少のフォローをするのは、仕方ないことです。しかし、自分が、引継ぎを徹底的に行っていれば、その必要は最小限になります。
人事異動の内示には口外禁止ですので、内示から正式な辞令までの間は、自分でできるところから少しずつ準備を行います。引継ぎの人選や方法の検討、転勤の場合は、引越しの準備などです。
辞令が出て、異動が明らかになったタイミングで、引継ぎ者に、あらかじめ準備した引継ぎの書類を渡したり、クライアントや仕入先への挨拶まわりに連れていき担当の切り替えを伝えたりします。
引継ぎがスマートに、的確に行えるかどうかは、自分の評価に繋がります。新しい担当者が不安にならないようにしっかり行いましょう。
人事異動のメリット
人事異動のメリットは、会社の側からすると、従業員のモチベーション向上や、組織の活性化などがあります。従業員の側からは、新しい部署での経験によりスキルアップできることや、さまざまな部署での経験により会社全体が見えてくるということが上げられるでしょう。
経営視点では、優秀な人材を、若手の頃からさまざまな職種や部署を体験させたり、海外拠点での経験を積ませたりということにより、しっかりと育てたいという考えもあるでしょう。
また、伸び悩んでいる従業員を、優秀な社員や指導の上手な上司のいる部署に入れることで、働く環境が変化し、刺激になってその従業員の能力が発揮されることもあります。成績の上がらなかった人材を化けさせるきっかけとして、人事異動が大当たりすることもあるのです。
従業員の視点では、新しい部署での経験により、仕事の幅や新しい取引先とのつながりを持つ事ができます。それは、ビジネスパーソンとしての人脈、知見の拡大に役立ちます。
企業にとっては、どの部署も欠かせない機能を持っていますので、子会社への出向も含めて、異動は経営戦略を実現するための大切な鍵です。
人事異動のデメリット
経営側の意図と従業員の意識が噛み合わない場合、人事異動が原因で、その従業員のモチベーションが下がり、最悪の場合、離職を誘発してしまうこともあります。
また、人事異動では、担当クライアントや、案件、プロジェクトなどの引継ぎが発生します。引継ぎして、しばらくはクライアントの信頼を再構築する必要があります。今まで自社を担当してくれていた従業員が、別の従業員に代わることで、悪い印象を抱くことがあるかもしれません。
従業員の視点では、持続していたプロジェクトから外れることは、仕事の達成感を失うことにつながります。また、営業の最前線で売上や利益の点で充実感を得ていた人が、管理部門や製造部門に異動になると、やりがいを見失うこともあるでしょう。
転勤の場合には、プライベートな生活が大きく変わることもありますので、昇格による転勤の場合でも大きな負担になることがあります。
人事異動を提案されたら、臆することなくチャレンジを
人事異動は、企業人としての宿命のようなものです。一つの部署に長く所属し、一定のスキルや知識のみを頼りに勤務し続けることは難しいです。しかし、3年から5年で部署が変わるのは、企業組織に所属することのメリットです。なぜなら、さまざまな業務を経験することで、幅広いスキルや知識が身につき、人脈も広がり、ビジネスパーソンとしての能力や価値が向上するからです。
一見、自分には合わないと思える異動でも、企業側が、キャリアプランを考えてくれた上で提示してくる場合が多いものです。ですので、人事異動を内示されたら、新しい可能性へのチャレンジだと思い、前向きな気持ちで受け入れてみましょう。
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2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。