人事・採用業務に必要な本・ビジネス書の選び方|おすすめ15冊を紹介
人事の世界は、専門的ですので、知識やノウハウの勉強は欠かせません。「人事に必要な知識は、どうやって勉強したらいいの?」「採用のトレンドを知りたい」と思っている人事担当者も多いのではないでしょうか。
人事分野の動向や最新の方法論を学ぶには、本を読むことが近道です。ここでは、人事担当者におすすめの本を紹介します。
- 人事や採用担当者が本を読んで勉強する必要がある理由
- 人事評価や採用方法は常にブラッシュアップされているため
- 会社のやり方も変えていく必要があるため
- 知っておくべきことが多いため
- 自社で取り入れている人事評価や採用の仕方を解説しているか
- ベストセラーか
- 最新の人事評価や採用方法を書いているか
- 人事・採用業務に役立つ書籍5選
- ダイヤモンド社「採用基準」
- 日本能率協会マネジメントセンター「HRDXの教科書 デジタル時代の人事戦略」
- 労務行政研究所「人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。」
- 労務行政研究所「人事担当者が知っておきたい、8つの実践策。7つのスキル」
- ソシム「人事と採用のセオリー」
- 創元社「人を動かす」
- ダイヤモンド社「グロービスMBAリーダーシップ」
- ディスカヴァー・トゥエンティワン「やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力」
- 文響社「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」
- PHP研究所「できるリーダーは、「これ」しかやらない」
- 日本経済新聞出版「アサーティブ・コミュニケーション」
- 日経BP「「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。」
- 海士の風「「わかりあえない」を越える」
- 三笠書房「人を動かす聞く力&質問力」
- 総合法令出版「タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル」
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人事や採用担当者が本を読んで勉強する必要がある理由
人事・採用の担当者には、専門分野の学習が必須です。採用も人事評価、育成などの分野では、雇用形態の多様化や、働き方改革など環境変化に対応しなければなりません。知識の取得とアップデートは人事が常に向き合う必要があるのです。それでは、本を読んで勉強する理由を紹介しましょう。
人事評価や採用方法は常にブラッシュアップされているため
まず、基礎的な知識やノウハウを取得したとしても、外部環境の変化により日々進化しています。また、採用では、関連法令も刻々と改革されますので、それに合わせて方法論も常にアップデートしています。
採用戦略の一環としても、ユニークな採用方法や特長的なインターンの受け入れ、話題性のある人材育成プランなど個性的な施策が必要です。
そのため、人事分野で話題になっている本や、高い評価の本は、できるだけ目を通した方が良いでしょう。人事担当者として、常に最新の知見を取り入れ、ブラッシュアップしていきたいものです。
会社のやり方も変えていく必要があるため
採用で思うように成果が上がらなかったり、従業員のリーダーシップが育たなかったりという課題に対処するためには、会社のやり方を変革する必要があります。そのためには、常に、人材採用や育成、評価などについての新しい考え方や方法論に触れることが肝心です。
また、採用や育成では、時代やトレンドに合わせて、新しい方法論や理論が次々に出てきます。それらは、最新の調査データと連携する要素もあり、会社や組織のあり方を新しくする鍵にもなります。DX(デジタル・トランスフォーメーション)時代に合わせた会社のあり方を考える必要もあります。
それらを知るために、本を活用することは人事に欠かせません。
知っておくべきことが多いため
人事には、幅広い業務があります。採用業務や人材育成に関わる業務だけでも、一年を通してさまざまにやることがあり、労務管理まで幅を広げるとさらに業務範囲は多岐にわたります。それらすべてに、基礎的な知識と方法、人事としての心構えがありますので、知らなくてはならないことはとても多いのです。
人事に配属されたばかりの人も、ステップアップの時期にいる人も、それぞれ新しい知識を身につける必要があります。OJTやWEBの知識だけでは、断片的にしか得られない知識も、専門書や教科書的な本ならば、総合的に学ぶことが可能です。
そのため、人事担当者は、自分のポジションに合わせ、常に本による勉強をしなければならないのです。
人事や採用業務について学べる本の選び方
このように、人事には、本により包括的な知識を学ぶ必要があります。しかし、本から知識を得るには、書かれている内容が示唆に富み、役立つことが大事です。そのために大事なのが、本の選び方です。
自社で取り入れている人事評価や採用の仕方を解説しているか
本を選択する際は、自社の人事業務を遂行する上で参考にならなければなりません。理想的なものや先進的すぎるものでは、考え方や思想に感心し刺激を受けたところで、実務の参考にならないこともあります。
人事に配属された当初は、自社で行っている人材採用や育成、人事異動などのシステムを理解する必要がありますので、その方法論や考え方を学びましょう。先輩に聞くことで、自社で採用している方法論や理論を知ることができますので、それに関する本を読み理解を深めるのが近道です。
実務の基本的な考え方から企画・運用の方法、チェックの方法などが身につく本をしっかり学ぶと良いでしょう。
ベストセラーか
人事の業務には、知らなくてはならない内容が多いです。人事に配属された当初は、まず、人事評価や採用についての、ベーシックな知識を網羅することに専念するのが良いでしょう。そのためには、多くの企業の人事部で読み継がれている教科書的な本や、人事の心構えが書かれた本をしっかりと読むことです。
また、会社の管理部門である人事には、経営者に読み継がれているベストセラーなども大変参考になります。
オーソドックスな業務をマスターしたのちに、新しい考え方やDX時代に向けた人事改革、採用の新しい試みなどを学ぶ方が、担当者としての幅が広がり知識も役立ちます。
最新の人事評価や採用方法を書いているか
ベーシックな知識を得て、人事の役割や心構え、業務内容を理解したら、最新の人事書を次々に読んでいくことをおすすめします。
人材採用、人事評価、モチベーション管理、評価、報酬、福利厚生などは、時代のトレンドや、従業員の行動心理、価値観の変遷を折り込み、アップデートされています。最先端企業の事例や、学術的に研究されている組織論などを学ぶことで、自社の改革に役立つこともあります。
特に、優秀な人材が採れない、定着しないという課題解決には時代にあった最先端の考え方や方法論を参考にしたいものです。そのためにも、新しい書籍は常にチェックする体制を整えましょう。
人事・採用担当者が読んでおくべきビジネス書
それでは、人事に配属された担当者が、現在読んでおくと良い書籍を紹介しましょう。人事・採用分野から、リーダーシップ、コミュニケーションまで、経営者から一般の従業員も読んでおくと良い書籍をセレクトしてみました。
人事・採用業務に役立つ書籍5選
人事の業務全般から、採用・人材育成の考え方に関わる知識とノウハウを獲得することができる書籍をピックアップします。人事初心者から、マネージャーまでそれぞれのフェーズで役立つ本です。
ダイヤモンド社「採用基準」
名門コンサルティングファーム マッキンゼーで、人材採用マネージャーを12年間務めた伊賀泰代氏の著書。マッキンゼーが採用で、「地頭の良さ」「論理的思考」「ケース面接」などを重視しているという誤解を否定し、真に組織に必要なのは「グローバルリーダー」の資質を持つ人材であることを示しています。
2012年に出版された本ですが、内容は現在も新鮮で、リーダーシップの本質的な理解を促してくれる良書です。
日本能率協会マネジメントセンター「HRDXの教科書 デジタル時代の人事戦略」
DXに対応するための人材ニーズの分析、人材確保、組織デザイン、リーダーシップの開発などについて解説している書籍です。
ソニーピープルソリューションズ、サイバーエージェント、メルカリ、三菱UFJ銀行、アステラス製薬、SAPジャパンなどHRDX(人事DX)の最先端企業の事例を紹介。具体的な事例とデータを通して、今後、DX化に向けて必要な、人材像から組織構造、企業文化のあり方について多くの知識を得ることができます。
単にDX化に対応するための人事戦略というだけでなく、将来、そして未来の企業に求めらせる考え方について示唆に富む内容です。
労務行政研究所「人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。」
本書は、「人事の赤本」の愛称で、人事担当者に読み継がれているスタンダードテキストです。人事職に就いた人が、知っておくべき基礎的な知識や心構え、人事部の仕事の内容、読むべき書籍、人事部の課題についての実態調査などを解説しており、実践的な教科書として役立ちます。
10の基礎知識では、人事制度、採用、育成、評価、報酬制度、退職金制度、人事異動などの業務についての説明をしています。また、人事担当者に必要なマインドセットやスキル、コミュニケーション方法についての解説、一年間の業務やイベントを月毎にまとめた資料もあり、業務のハンドブックがわりに便利に使えます。
労務行政研究所「人事担当者が知っておきたい、8つの実践策。7つのスキル」
中堅以上の人事プロフェッショナルを目指す人に最適な本です。「人事の青本」と呼ばれています。より高度な業務に携わるためのスキルと知識を身につけることができる「ステップアップ編」として、人事管理の変遷が判る解説に始まり、人事部門の機能や役割、人材配置、採用と選考、人事制度の企画、育成などについて解説した本です。
人事担当者に求められるビジネスマインドや労働関係法律の読み方、判例の使い方までより実践的で具体的なノウハウが身につきます。
上の赤本とこの青本は人事担当者の教科書として歴史があります。さらに人事初心者向けに「第3版 はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割。(入門編)」という書籍も出版されていて、それは人事の緑本、と呼ばれています。
ソシム「人事と採用のセオリー」
リクルートからライフネット生命、オープンハウスで人事・採用責任者を歴任した曽和利光氏が、経験をもとに、大きく変化しつつある人事と採用の世界に通用する新しい考え方と理論を解説する本。心理学と組織論をベースにした行動科学により、これからの人事のあり方を打ち出しています。
成長企業の人事としての経験から、優秀な人材を採用するポイントや時代の変化に合わせた合理的な制度設計について、事例を交えながら具体的に解説してくれますので、実践的な知識とノウハウが身につきます。
リーダーシップについて学べる書籍5選
人材育成にとってリーダーシップは重要です。マネージャーや管理職だけでなく、すべての従業員が自分ごととして仕事に向き合う組織は、それだけで生産性も上がり課題解決力も強くなります。リーダーシップの育成に役立つ書籍を紹介しましょう。
創元社「人を動かす」
言わずと知れたビジネス書の古典中の古典です。米国の教師であり、自己啓発や企業の人材トレーニング、対人スキルなどを開発してきたデール・カーネギーの著書です。「原則」という形で、人と接して人が喜んで協力してくれるようになる秘訣を説明してくれています。マネージャーとしてだけでなく、人と人との基本的な関係を築く上でも勉強になるので、若いうちに読むことをお勧めします。
「人を動かす3原則」「人に好かれる6原則」「人を説得する12原則」「人を変える9原則」から構成され、自分の行動や態度によって、周囲の他者の態度が変わることを教えてくれます。自分自身の成長のためにも役立つ必読書のひとつです。
ダイヤモンド社「グロービスMBAリーダーシップ」
グロービス経営大学院の教科書として出版された書籍です。組織行動とリーダーシップの講座内容をまとめたもので、リーダーとして組織を動かすためのフレームワークや考え方を学ぶことができます。ビジネスケースを用いて、実際にリーダーが遭遇する課題について考えるものになっています。
本書は、MBAの演習内容を元にしていますので、リーダーシップの考え方から、組織運営、活性化、イノベーションを導くリーダーシップなどの内容を学べる実践的な内容です。
ディスカヴァー・トゥエンティワン「やる気を引き出し、人を動かす リーダーの現場力」
ミニット・アジア・パシフィック株式会社社長の迫 俊亮氏の著書。著者は、右肩下がりだったミスターミニットを3年間で立て直した経験を持っています。
現場に権限と責任を大きく移譲し、現場力を最大限に引き出す組織に換えたことで、V字回復を実現したのです。その経験をもとに、現場が自ら動き出す仕組みや、現場のエンパワーメントにつながるリーダーシップについて説明しています。
人事だけでなく、すべての部署のマネージャーにとって、勉強になる本です。
文響社「自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書」
農林水産省10大トピックス受賞の農学博士篠原信氏が、研究室や中小企業での経験からたどり着いた指示待ち人間の部下から自律型の人間に育てる育成方法を解説した本です。
部下に対して使うべきキラーフレーズや、質問の方法、「自分で考えてみてください」と言って放置する方法など、権限と責任を移譲しながら、失敗を恐れずに自律して仕事をする人材に育てるマネジメント方法を知ることができます。
著者が実際に育成に成功した事例をもとに具体的に語られているので学ぶところは大きいです。
PHP研究所「できるリーダーは、「これ」しかやらない」
リクルートでプレイヤー部門、マネージャー部門で年間全国トップ表彰を4回受賞し、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任した伊庭正康氏の著書。
リーダーも業務に追われるため、少ない時間でマネジメントする必要があります。そのため、リーダーは、「いかに速くやるか」ではなく「いかに任せていくか」を考えるべきだと言います。
また、部下のモチベーションを上げるために、「Will-Can-Must」という動機づけの法則を導入すると、成長機会を提供することができるとも説明しています。
部下の成長に悩むリーダーや管理職、リーダーシップを高めたいと考えている人の役に立つ本です。
コミュニケーションについて学べる書籍5選
人事に必要なのは、相手の話をしっかりと聞き取り問題解決に結びつけるコミュニケーション力です。コミュニケーションについて学ぶのも、書籍が役立ちます。
日本経済新聞出版「アサーティブ・コミュニケーション」
研修講師としてアンガーマネジメント、アサーティブコミュニケーション、アドラー心理学をベースとしたコミュニケーションの指導などを行う戸田久実氏の著書。
相手を尊重しながら、自分自身の意見を伝えるアサーティブコミュニケーションの考え方と実践方法を伝える内容です。
職場で起こりうるケースを元にして、アンコンシャスバイアスという無意識の思い込みを取り除くことや、アサーティブな表現のポイントを教えてくれます。
日経BP「「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。」
編集者の藤吉豊氏、小川真理子氏による共著。話し方や会話術の名著を100冊読み込み、その内容に共通するノウハウを洗い出してまとめた書籍です。ノウハウは、掲載されていた本の冊数が多い順に1位から40位までのランキングにしています。
その中で、1位から7位までは、すべての人々に必要な基本ルール、8位から20位は、話がうまい人に共通するポイント、21位から40位はコミュニケーション力をさらに高めるためのコツだと言います。ユニークなまとめ方で、コミュニケーションスキルをまとめた本です。
海士の風「「わかりあえない」を越える」
調停が専門の心理学者マーシャル・B・ローゼンバーグの著書で、NBC(非暴力コミュニケーション)についてまとめた名著です。NBCは、世界で取り入れられているアプローチで、相手の言動ではなく、自分と相手の「心の奥にある大切なもの」に目を向け、「自分の内面で何が息づいているか」に気づくことで、相手に攻撃的にならず、つながりを作ることができると説きます。
先入観や自分の理想を軸にするのではなく、相手の話を理解しようと務めることで、揉め事や闘争を納めることを目指すコミュニケーションが可能であるという考え方です。
ひとつのコミュニケーションのあり方として、考えるきっかけになります。
三笠書房「人を動かす聞く力&質問力」
人材育成コンサルタントの松本幸夫氏の著書。仕事や人間関係を円滑に進めるために必要な「聞く力」と「質問力」を身につける方法を説明する本です。聞く力については、人の話を否定しないこと、話を遮らないという聞き方の基本から紹介、質問力については「つまり?」「たとえば?」などシンプルな質問で相手の本音に近づく方法を説いています。
また、会話のスピード、リズム、パターンなどのテクニック、あいづちの打ち方、などを実例を交えながら紹介しています。役立つヒントや具体例が多いので、すぐに活用できます。
総合法令出版「タイプがわかればうまくいく! コミュニケーションスキル」
谷益美氏と脳科学者の枝川義邦氏の共著です。コミュニケーションのスタイルを「自己主張の強さ」と「感情の表し方」の2つの軸で分類していて、それを「ソーシャルスタイル」という理論として展開、相手のタイプにマッチした話し方を教えてくれます。
コミュニケーションを行う2者、相手と自分のタイプをチェックし、タイプに合わせたコミュニケーション方法を紹介。苦手な相手との間に良好なコミュニケーションをするためのステップを紹介し、良好な関係の形成を目指します。脳科学者の枝川氏の解説もありますので、紹介する方法が効果的な根拠が理解できます。
コミュニケーションについて悩みを持つ人や、仕事上のコミュニケーションに役立てたい人に適した一冊です。
人事や採用は常に本を読んで勉強しよう
人事という仕事は、一人一人の人間とその有機的な集まりである組織を扱います。そのことは、人事が会社の成長やブランディング、ビジョンの実現に影響する重要なポジションであることを示します。そのため、人事には、基礎的な業務の流れを学習する書籍や、評価や採用の新しいトレンドを紹介する本を読み勉強する癖をつけることが必要です。
ここに紹介した以外にも、最近ではNFTの原理を活用したDAO型組織(分散型自律組織)など最先端の組織論もありますので、参考にしてはいかがでしょうか。
人事でのキャリアアップを目指すならば、管理部門専門の転職サイトSYNCAが便利です。さまざまな企業が、それぞれの理由で求人情報を掲載していますので、人事に求められるスキルや知識を知ることができます。また、最先端の組織デザインを志向するベンチャー企業の状況も把握できますので、ぜひ役立ててみてください。
2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。