ノウハウ

自社が求める経理を採用するコツとは?採用する際の注意点も解説

栗田 謙人
更新日:2023/08/28

会社運営において重要な業務を行う経理の採用は、安定した企業運営を行ううえでも重要です。自社にあった経理の人材を採用したいと思っていても、具体的にどのような採用活動を行うとよいのか分からないと悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

本記事では自社が求める経理人材を採用するコツを解説します。採用する際の注意点や面接時に確認するべきポイントも紹介するため、経理の採用活用でお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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求める経理人材を見つけるコツ

自社の求める経理の人材を見つけるためには、どのような人材を求めているのかを明確にすることが大切です。必要な経験やスキルレベルを提示するとともに、採用後にどのような業務を担当してもらうのかを明示しましょう。

また、求人を出す時期を見極めることも大切です。求人を出しても、転職活動をしている人が少なければなかなか求める人材に出会えません。

求める経理人材を見つけるためにおさえておきたい、求人の内容や求人を出す時期を見極めるコツを解説します。

経理に求める仕事内容を明示する

自社にあった経理人材を見つけるためには、まずは経理に求める仕事内容を明示しましょう。経理の仕事を探している求職者は、求人内容に記載されている仕事内容から、企業がどのような人材を求めているかを確認しています。仕事内容があいまいでは、企業の求める人物像が分からず、応募をためらってしまうでしょう。

まずは採用担当者が自社の経理の仕事内容をしっかりと把握することが大切です。仕事内容を把握していれば、どのようなポジションでどのように働いてほしいのかが明確になり、求める人物像もはっきりとみえてくるでしょう。

また、欠員補充のための採用活動の場合、退職予定者の仕事内容やレベルに合わせる必要があります。求人内容と実際に担当してほしい仕事内容に齟齬があれば、ミスマッチによる早期退職や採用活動の長期化につながる可能性も否定できません。

こうした事態を防ぐためにも、採用担当者が経理に求める仕事内容をしっかりと把握しておきましょう。

自社で経理を行う際に必要なスキルレベルを明示する

仕事内容を明示する以外に、自社で経理を行う際に必要なスキルレベルを明示することも大切です。経理は専門的な知識が必要な業務も多く、個人のスキルが業務の質にも関係します。

求める仕事内容によっては、基本的なスキルがあれば十分な場合もあれば、専門性の高い知識や経験が必要な場合もあるでしょう。こうした仕事をこなすために必要なスキルや実績を採用担当者が把握し、それに見合った人材かどうかを判断できるようにしておくことが大切です。

ただし、最初からスキルレベルが100%の人材を求めて希望条件を絞り過ぎると、なかなかマッチする人材が見つからない可能性があります。そのため、採用時点では多少物足りなさがあるとしても、今後の成長を見越した判断が必要です。

求人を出すのに適した時期を選ぶ

求人の内容だけでなく、求人を出すのに適した時期を選ぶことも、求める経理人材を見つけるコツの一つです。求人を出す時期によって、応募者の反応も異なります。具体的にどのような時期に求人を出すべきなのか、詳しくみてみましょう。

転職活動が活発化する時期を狙う

求人を出す際には、転職活動が活発化する時期を狙いましょう。転職活動はボーナス支給後の時期に活発化する傾向があります。大手企業であれば夏の賞与は6・7月頃に支給されるケースが多いでしょう。

また、企業によって異なりますが決算期が6月頃の会社も多くあります。経理業務が落ち着く企業の決算期も考慮し、7月以降の夏頃に転職活動を活発化させる人が多いでしょう。

年が変わる1月や4月の入社を意識した時期に、転職活動を始めるケースもあります。1月入社の場合は11月頃、4月入社であれば2月・3月頃が転職活動が活発になる時期です。

こうした求職者の活動時期を狙って求人を出すと、短期間で応募が集まりやすくなります。求職者の数も多い時期のため、求める人材を見つけやすくなるでしょう。

欠員補充ならスケジュールをしっかり組む

欠員補充による採用活動を行う際には、欠員によって仕事に穴が空きすぎないよう、すぐに採用したいと考える企業は多いのではないでしょうか。欠員補充のための採用活動の場合、採用スケジュールをしっかり組むことが大切です。

退職予定者の退職時期が固まり次第、入れ替わりですぐ採用できるように採用活動を進めましょう。時期によっては求職者が少ない可能性はありますが、転職サービスの活用などによって求める人材に出会える可能性は十分にあります。

また、場合によっては求職者の入社時期の交渉も考慮する必要がある点には注意しましょう。求める人材が見つかっても、退職予定者の退職時期から期間をおいてからしか入社できない場合、仕事に穴があいてしまいます。求職者の入社希望時期も考慮して、採用活動を行いましょう。

経理に強い転職サービスに求人を出す

経理に強い転職サービスに求人を出すのも、求める人材を見つけるコツの一つです。総合型エージェントでも人材は見つかりますが、さまざまな職種を扱っているからこそ、自社にあった人材がなかなか見つからず採用活動が長期化する可能性があります。

一方、経理に強い転職サービスであれば求職者も経理経験者や専門性の高い知識を持っている人が多く、高いレベルの人材が見つかりやすくなるでしょう。経理の基本的な業務だけでなく、マネジメントや管理職の経験がある人材も見つけやすくなります。

より高レベルな人材を見つけたい場合には、ハイクラス人材紹介サービス・WARC AGENTの利用もおすすめです。より経験や知識の豊富な高レベルな人材が見つかるでしょう。

経理の応募者を増やすコツ

経理の仕事はさまざまな企業で必要とされており、求人数も多い傾向があります。そのなかで自社に応募してもらうためには、他社との違いを明確にし、自社の魅力をアピールすることが大切です。続いて、経理の応募者を増やすコツを紹介します。

スキルに見合った給与を設定する

経理の応募者を増やすために、まずはスキルに見合った給与を設定しましょう。

経理人材が持つスキルには難易度が高いものもあり、給与によってはスキルに見合わないと判断され応募者が集まらない可能性があります。求める仕事内容やスキルなど、採用したい人材をイメージし、相場を調べたうえで給与を設定しましょう。

経理は経験年数や保有資格などによって年収相場は異なります。たとえば、実務経験が3年未満や未経験者であれば年収300万〜399万円、実務経験3年以上では400万円〜599万、管理職クラスでは600万円以上が相場です。

公認会計士や税理士、上場企業での決算経験者などであれば年収1,000万円以上になるため、こうした相場の違いを考慮したうえで給与を設定しましょう。

自社だけの魅力をアピールする

応募者を増やすためには、自社だけの魅力をアピールすることも大切です。経理の求人を出している企業は多く、自社だけの魅力がアピールできなければ人材はより条件のよい企業へ行ってしまうでしょう。

場合によっては内定を出しても辞退されかねないため、他社との差別化できる魅力を伝えることが重要です。採用担当者だけではどのような点が魅力になるのか分からない場合は、社内のメンバーにヒアリングしてみるのもよいでしょう。

働いている人にとっては当たり前のことでも、求職者から見れば魅力的だと感じるケースもあります。また、転職サービス側にも自社の魅力をしっかりと伝えることが大切です。転職サービスを通じて自社の魅力を発信してもらえるようにしましょう。

わかりやすい求人票を作成する

求人票は応募者を集めるために重要な要素です。そのため、応募者によって分かりやすい求人票を作成しましょう。

会社の概要・募集背景・仕事内容など、他社との違いを明確にし、応募者が欲しいと考える内容を充実させることが大切です。特に、応募者を増やすためには、応募者を引きつけるタイトルが欠かせません。数多くの求人のなかで応募者の目をひくタイトルがつけられれば、求人票の中身を見てもらえる機会も増やせるでしょう。

応募者にとって魅力的なワードや強調したいフレーズをタイトルの先頭につけたり、タイトルだけでも仕事内容が分かるようにするのがおすすめです。実際に応募が多い求人票を参考にし、魅力的な求人票のタイトルを考えましょう。

経理の採用面接時に確認するべき4つのポイント

採用面接では、応募者の人物像を見極めることが大切です。面接という限られた時間で応募者の人となりを把握するには、ポイントを押さえて面接をする必要があります。続いて、経理の採用面接時に確認するべき4つのポイントをみてみましょう。

経験や実績

経理の採用面接時には、応募者のこれまでの経験や実績を確認しましょう。過去の経理業務の経験や実績を詳しく確認することで、応募者の能力や適性を判断できます。これまでの経験は応募者のスキルレベルに直結する情報であり、どの程度のスキルがあるかも判断できるでしょう。

また、経理業務は企業規模や業態によって担当範囲が異なるケースが多くあります。前職の企業規模や担当範囲が自社と近い場合は、自社にマッチする可能性も高くなるでしょう。逆に、企業規模が全く異なるケースではスキルがあっても自社にマッチしない可能性もあります。

そのため、面接時には実際に担当した経理業務の範囲や規模、業務の種類などを質問し、応募者の能力とともに自社とマッチするかどうかも確認しましょう。

保有している資格

面接時には、応募者の保有している資格の確認も必要です。経理に関する資格や認定を持っているかどうかを確認し、即戦力となれる人材かどうかを判断しましょう。

たとえば、公認会計士や簿記技能検定などの資格は、応募者の専門知識やスキルの指標になります。これらの資格を保有していれば、一定の経理スキルがあり、入社後もすぐに実務が任せられると判断できるでしょう。

また、資格保有を採用条件に設定していると、採用業務を複数人が担当する際に採用基準がぶれないというメリットもあります。採用基準を明確化するためにも、一つの指標としておくとよいでしょう。

ただし、経理は資格だけではなく経験年数も重要です。資格を取得していなくても長年経理業務に携わっているケースもあるため、資格とあわせて経験年数も確認するとより人材のスキルレベルを正確に把握できるでしょう。

性格や価値観

面接時には応募者の性格や価値観も確認しましょう。経理の仕事では業務の性質上正確性や細心の注意、慎重さなどが求められます。面接では、応募者の性格や価値観がこれらの要素と一致しているかを確認することが大切です。

性格や価値観を探る場合は、具体的なエピソードも交えて話してもらいましょう。たとえば応募者が「真面目な性格をしている」と回答しても、エピソードを掘り下げていくと回答内容からみえる性格が異なっているケースもあります。

また、経理は他部署や部署内での連携が欠かせません。そのため、コミュニケーション能力やチームでの協働能力が身についているかどうかも確認しましょう。

コミュニケーション能力の場合、面接を通して相手の意図を汲んだ回答ができるかどうかである程度判断できます。チームでの協働能力は、過去にチームで取り組んだ経験を具体的なエピソードを交えて話してもらうことで確認しましょう。

マネジメント経験の有無

面接時には、マネジメント経験の有無を確認することも重要です。

マネジメントに関わる仕事を任せたいと考えている場合、マネジメント経験のある人材であれば即戦力としての活躍が期待できます。チームリーダーや指揮経験など、これまでのマネジメント経験の内容や規模を質問して確認してみましょう。

これまでのマネジメント経験から、マネジメントに対する応募者の姿勢や考え方もみえてきます。これにより応募者の人柄をより性格に把握することにもつながるでしょう。

応募者によってはマネジメント業務を敬遠し、実務を希望するケースもあります。将来的にマネジメントを任せたいと考えている場合は、マネジメント業務への意欲も確認しておくとよいでしょう。

経理を採用する際の注意点

経理を採用する際、より自社にあった人材を見つけるためには、応募者のスキルや資格、人柄を見極め、応募者に任せたい仕事内容や自社の希望条件とすり合わせることが大切です。最後に、経理を採用する際の注意点を解説します。

資格だけでなく実務経験も確認する

経理を採用する際には、資格だけではなく実務経験も確認しましょう。経理の資格保有者は実務にも対応できる可能性が高いですが、資格だけを持っていて実務経験は乏しいケースもあります。この場合、採用後に実務の教育が必要になる可能性もあるでしょう。

一方で、長年実務に携わっているけれど資格取得をしていないケースも少なくありません。資格にこだわりすぎると、実務経験の豊富な人材を逃してしまう危険性もあります。

入社後すぐに活躍できる人材を見つけたい場合には、採用時に資格とあわせて実務経験を確認しましょう。また、資格を採用基準の一つにする場合は、資格を用いての実務経験の有無を確認すると、より正確にスキルレベルを把握できます。

年齢にこだわり過ぎない

経理の採用時には、年齢にこだわり過ぎないことも大切です。経理は売り手市場であり、若い人材はそもそも少ない傾向があります。また、即戦力になるような人材として難関資格や実務経験を求める場合、比例して応募者の年齢は上がるのが一般的です。

たとえば、若くて即戦力になる人材を求めている場合、そもそもこの条件に合致する求職者が少なく、なかなか条件にあった人材が見つからず採用活動が長期化する恐れがあります。

そのため、転職市場の傾向を加味したうえで、自社の求める人材像を考えることが大切です。すぐに活躍できる即戦力となる人材がほしいのか、採用後中長期的に自社で育成できるのかを判断し、年齢を絞り過ぎずに採用活動を行いましょう。

業務内容と業務範囲をすり合わせる

採用時には、応募者と業務内容と業務範囲をすり合わせることも大切です。入社後に任せたい仕事内容と業務範囲のすり合わせができていないと、ミスマッチが生じかねません。ミスマッチが生じた場合、イメージと違ったという理由で早期離職につながる可能性があります。

その場合再度採用活動が必要になるため、採用前に入念にすり合わせておくことが大切です。特に、前職の企業規模が自社と異なる場合、実際に担当していた業務範囲や応募者がイメージしている働き方が異なる可能性があります。こうしたミスマッチを防ぐために、採用間のすり合わせを必ず行いましょう。

また、応募者によって実務にこだわっている場合やマネジメントにも携わりたい場合などもあるため、採用前にキャリアプランを確認しておくことも大切です。

経理の採用時のコツをおさえて自社の求める人材を見つけよう

経理の採用時には自社が求める人材像を明確にし、仕事内容や必要なスキルを明示することが大切です。求職者に自社がどのような人材を求めているかが伝わりやすい求人票をつくると、自社にあった人材が見つけやすくなるでしょう。

また、面接時には応募者のスキルや人柄を見極めることも大切です。実務経験や人柄に関する質問をし、具体的なエピソードも交えながら回答してもらうことで自社の求める人材像に近いかどうかを見極めましょう。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。