ノウハウ

経理・総務の仕事内容や違い|兼任が多い理由とともに解説

栗田 謙人
更新日:2023/09/29

総務や経理への異動を打診された場合、まずは仕事内容を知りたいものです。本記事では総務と経理の仕事内容や、年収について解説しています。部署の特性を理解しつつ、総務や経理が自分に向いているかどうかの参考にしてください。

目次
  • 総務と経理それぞれの仕事内容と違い
    • 総務・経理に加え労務と合わせて「バックオフィス」業務と呼ばれる
    • 総務部の主な仕事内容
    • 経理の主な仕事内容
  • 経理と総務が同じ部署にまとめられていることが多い理由
    • 同じバックオフィス業務で仕事内容が密接に関わっているため
    • 総社員10名以下の会社は経理と総務が一緒になっていることが多い
  • 総務と経理が兼任だと仕事が増えるので大変になることも
  • 総務・経理の仕事に向いている人の特徴
    • 総務の仕事に向いている人
    • 経理の仕事に向いている人
  • 総務・経理の年収相場
    • 総務の場合
    • 経理の場合
  • 総務の仕事をする際に持っていると便利な資格
    • ①社会保険労務士
    • ②衛生管理者
    • ③ビジネス・キャリア検定
  • 経理の仕事をする際に持っていると便利な資格
    • ①日商簿記(2級以上)
    • ②ファイナンシャルプランナー(2級以上)
  • 総務と経理の仕事は目立たないけれどやりがいがある
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総務と経理それぞれの仕事内容と違い

総務と経理の具体的な仕事内容や、違いについて気になる人は多いでしょう。それぞれの部署の担当する分野は異なりますが、会社を裏方から支えるという共通点があることも事実です。

総務・経理に加え労務と合わせて「バックオフィス」業務と呼ばれる

総務と経理は社内での役割の特性が似ていることから、労務と合わせて「バックオフィス」業務と呼ばれています。バックオフィス業務とは、会社経営で必要な4つの資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を管理する仕事のことです。4つの資源を部門ごとに管理し運営することで、会社の利益に繋げていきます。

総務部の主な仕事内容

総務の仕事内容として、代表的な例は以下の通りです。

  • 会社の設備全体
  • 使用する備品の管理
  • 文書作成
  • メールや電話対応
  • 福利厚生業務

総務は社員が能率よく働くためのサポート役として、事務的な仕事をメインに行います。会社設備の管理やボールペン等の備品調達、社内規定文書の作成までさまざまです。直接会社の利益を生み出す社員たちが業務に集中できるように、裏方から支えています。

部長や課長クラスになると、総務部のリーダーとして部署全体の司令塔になることも仕事の一つです。部下の教育や、モチベーション管理をしながら部署の指揮を取ります。

経理の主な仕事内容

経理は会社のお金の流れを管理する部署であり、時期によって行う業務が変わります。代表的な仕事内容は以下の通りです。

  • 日々行う業務:現金出納帳の管理、経費精算、伝票整理、売掛・買掛金管理
  • 月末に行う業務:給与支払い、月次決算書作成、予算表管理
  • 年末に行う業務:確定申告、税務申告、年度末決算書作成、社会保険管理

経理は、会社に出入りするお金の管理や、企業の財政状況を月・年ごとにまとめて会社経営に役立てています。業務全般がお金を扱う内容のため、正確さやスピードを求められる部署です。特に給与に関する報告書や公的機関への提出書類は、法律に関わるためミスなく作成することが求められます。

経理と総務が同じ部署にまとめられていることが多い理由

企業によっては、経理と総務を掛け持ちする人も少なくありません。それぞれの部署は異なる分野であるため、同部署にまとめられる理由が気になる人は多そうです。

同じバックオフィス業務で仕事内容が密接に関わっているため

経理と総務は部署を別々に立てるよりも、兼任のほうが効率良く行える場合があります。特に総務の仕事の一つである、消耗品や設備管理などお金が絡む業務です。

本来であれば総務が行う仕事であっても、経理が兼任することで、かかったお金の流れの記録を一括で行えます。一つの部門がワンストップで行うことで、所要時間やミスの削減を期待できるのです。

総社員10名以下の会社は経理と総務が一緒になっていることが多い

総社員10名以下の会社では、人員配置のバランスを考えて経理と総務をまとめるケースは少なくありません。部署を細かく分けて人を雇用すると、人件費がかかり会社経営の負担に繋がります。企業規模に合った経営には、一つの部門にあらゆる業務をまとめる必要があるのです。

総務と経理が兼任だと仕事が増えるので大変になることも

総務と経理を掛け持ちすると仕事の範囲が広がるため、大変だと感じることもあるかもしれません。しかし、それぞれの分野はバックグラウンド業務としての共通点があることも事実です。仕事の仕方に慣れると、複数人で分業するよりも働きやすくなる可能性があります。両方の分野を担当することでスキルアップにも繋がるので、担当になった場合は前向きに捉え挑戦してみましょう。

総務・経理の仕事に向いている人の特徴

総務や経理の仕事内容を知ったところで、自分に向いているかどうか気になる人も多いでしょう。業務を行うための処理能力のほかに、どのような資質を求められるか解説します。

総務の仕事に向いている人

総務に向いている人の特徴は、以下の通りです。

  • 物事を整理することが得意
  • 頼まれごとが好き
  • 社内での交友関係が広い
  • 協調性がある
  • マルチタスクが得意

社内の困りごとを担当することが多いため、社員からの頼みを嫌な顔をせず引き受けられる人が向いています。顔が広く社交性のある人は、相談しやすく頼られる存在になれるでしょう。基本的にさまざまな業務を並行して行うため、マルチタスクが得意だとなお良いと考えられます。

経理の仕事に向いている人

経理に向いている人の特徴は、以下の通りです。

  • 数字に対して苦手意識がない
  • 正確に作業できる
  • コミュニケーション能力がある
  • 計画性がある
  • 締め切りを守れる

参考:経理に向いている人・向いていない人の特徴|未経験から経理の仕事を目指す方法を紹介

会社のあらゆる数字を扱う経理にとって、数字に対して抵抗がないことは大前提と言えます。決算書類や給与計算など締め切りが決まっている業務が多いため、スケジュールに沿って正確に情報をまとめるスキルが必要です。また、経理は会社全体のお金の管理を担当するため各部署とのやり取りが発生します。社員と良好な関係を築けるようなコミュニケーション能力が備わっていると、仕事がスムーズに進むでしょう。

総務・経理の年収相場

総務と経理の仕事内容を知る上で、年収について気になる人は少なくなさそうです。年代別の平均を知っておくと、昇進や昇格の際の目安としても役立つでしょう。
ここでは、総務と経理の年収相場について解説します。

総務の場合

「転職会議」(※1)が公表している総務の全世代平均年収は435万円でした。以下は、同サイトが発表した総務の平均年収を年代別にまとめた表です。
(※1)参考:転職会議「総務の年収まとめ」

年齢 平均年収
20代前半 344万円
20代後半 388万円
30代 438万円
40代以上 539万円

総務の20代は会社の庶務業務が中心であり、年齢を重ね経験が増すごとに少しずつ年収に反映していくと考えられます。40代以降ではリーダー職に就き、責任のある業務を任される人が多いことが特徴です。仕事内容や役職に比例し、年収の上昇率が高くなる傾向にあります。

経理の場合

一方、同じく「転職会議」(※2)が公表している経理の全世代平均年収は464万円でした。以下は、同サイトが発表した総務の平均年収を年代別にまとめた表です。
(※2)参考:転職会議「経理の年収まとめ」

年齢 平均年収
20代前半 352万円
20代後半 419万円
30代 500万円
40代以上 553万円

経理は専門的な業務が多い分、総務に比べて年収ベースが高い傾向にあるようです。兼任する業務の範囲によっても、年収が上がると考えられます。40代以降では課長や部長などの役職に就く人も多く、年収に反映しやすいことが特徴です。

経理の平均年収については以下の記事でも解説しているので、さらに詳しく知りたい人は参考にしてください。
参考:経理職の平均年収はいくら?男女、年代別などの調査結果や収入を上げる方法を紹介

総務の仕事をする際に持っていると便利な資格

総務は社員のサポート役として、法律知識や書類作成能力を求められることが多くあります。スキルを資格学習で補っておくと、実際の業務に活用できるのでおすすめです。

①社会保険労務士

社会保険労務士とは、人材に関するスペシャリストとして書類作成や手続きを行える国家資格です。具体的には、就業規則の作成や労働条件の提案、社会保険手続きなどを行えるようになります。

総務の仕事は社会保険労務士で得られるスキルと結びついているため、資格を持つことで実際の業務の役に経つでしょう。転職の際には総務としての力が備わっていることを証明できる、アピールポイントになると考えられます。

参考:社労士試験の難易度|仕事内容や年収・やりがい・将来性について詳しく解説

②衛生管理者

衛生管理者とは、社員の健康や安全を守るための知識を養える国家資格のことです。社員に衛生管理教育を行うことで、社内を健康・安全面から支えていく役割を持ちます。

衛生管理者は従業員が50名以上いる職場では必ず選任しなければならず、総務が担当しているケースは少なくありません。総務はコンプライアンスを取り扱うケースがあるため、取得していると実務に活かせる可能性があります。

国家資格の中では難易度が低いといわれているので、一度挑戦してみることがおすすめです。

参考:衛生管理者試験の難易度|仕事内容や年収・やりがい・将来性について詳しく解説

③ビジネス・キャリア検定

ビジネス・キャリア検定とは、事務系の業務に関する知識を習得できる資格のことですバックオフィス業務の8つの分野から、自分の学びたい内容を選ぶことができます。総務が資格を取得すると、業務に必要な法律知識やリスクマネジメントなどを学ぶことが可能です。いざというときに知識が求められる総務での仕事に、役立てられるでしょう。

4つの難易度を選べるので、入社してからもレベルチェックとして定期的に受験することができます。

経理の仕事をする際に持っていると便利な資格

経理の主な業務はお金の流れの管理であり、書類作成のスキルがあると実際の仕事で活用できます。さらに会社経営に関する数字を読み取れるようになると、経営にも貢献できる人材となれるでしょう

①日商簿記(2級以上)

日商簿記とは、会計に関する検定の中でもメジャーな資格の1つです。取得すると経理業務の流れがわかり、会社の数字を理解できるようになります。

経理の募集では2級以上を条件としている企業も珍しくなく、取得していると業務の基礎が身についていることをアピールできるでしょう。1級に合格すると税理士の受験資格を得られるので、スキルアップのモチベーションにも繋がりそうです。

参考:簿記2級が活かせる仕事とは|資格取得のメリットや未経験から経理への転職について解説

②ファイナンシャルプランナー(2級以上)

ファイナンシャルプランナーとは、資産運用のアドバイスを行える専門家のことです。資格を取得すると、企業の業績アップや成績不振の際の提案ができるようになります。

経理がファイナンシャルプランナーの資格を持つことで、会社の経営に貢献できる人材となれるでしょう。特に2級以上の内容は経理の実務に活かせる内容が多いので、取得しておくと仕事の理解度が増すと考えられます。

総務と経理の仕事は目立たないけれどやりがいがある

総務と経理、それぞれの部門は一見目立たない存在ですが、会社経営には欠かせない分野です。業務のスキルは資格取得を通して得ることも可能なので、異動を提案された場合は前向きに検討しましょう。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。