人事戦略で成功するためのやり方とは?フレームワークや戦略の立て方を解説
企業の成長を人事戦略で目指す場合、導入方法について知りたい人は多そうです。人事戦略が重要視されている理由を踏まえつつ、具体的な方法を理解すると自社での導入のイメージが湧くでしょう。
この記事では、人事戦略で成功するための方法をフレームワークや事例を解説します。
- 人事戦略とは?
- 人事戦略と戦略人事の違い
- 人事戦略が重要視される理由
- 人事戦略に関係する5つの業務
- 人材採用
- 教育研修
- 労務管理
- 評価制度の策定・見直し
- 人材リテンション
- MVV
- ロジックツリー
- PEST分析
- SWOT分析
- STEP1.目的の明確化
- STEP2.環境調査・分析
- STEP3.戦略立案〜策定
- STEP4.実施と評価
- トヨタ自動車株式会社
- 三菱電機株式会社
- フジテレビジョン株式会社
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人事戦略とは?
人事戦略とは、企業の目的達成のために業務を改善していく試みのことをいいます。人事が経営戦略に基づいて人材管理を行う上で「別な業務が忙しく、人材育成に力を入れられない」「求めている人材を獲得できない」等、悩みを持つケースは少なくありません。
人事が抱えがちな悩みを解決するには、それぞれの業務の進め方自体を見直すことが必要です。業務の方法を戦略的に検討する取り組みの一連を人事戦略と呼び、多くの企業で採用されています。
人事戦略と戦略人事の違い
「人事戦略」は人事業務のオペレーション改善を図る取り組みであることに対し「戦略人事」は、人材の直接的な活用方法のことをいいます。例えば「どの部門に資格を持った者を何名配置する」という、人材に関する具体的な目標は戦略人事に当たる考え方です。戦略人事では人材資源を適切にマネジメントすることで、企業を成長に導きます。
2つの違いは混同されやすいですが「人事戦略」は業務自体の改善、「人事戦略」は人材活用の方法と捉えるとよいでしょう。
人事戦略が重要視される理由
近頃、人事戦略が重要視されるようになった背景には、社会情勢の変化が影響していると考えられます。バブル崩壊前の日本は労働人口が多く、終身雇用が当たり前だったため人事を戦略的に考える必要はありませんでした。しかし、労働人口の減少や価値観の多様化が進む今、従来の人事のあり方では企業の存続が難しい事態となっています。
企業がこれからの時代に対応するには、能力や経験を備えた人材の確保と流出への対策が必要です。会社の貴重な資源である人材を最大限に活用するための取り組みとして、人事の業務改革が重要視されています。
人事戦略に関係する5つの業務
人事戦略を行う際、具体的にどの部分に力を入れればいいのか気になるところです。人事戦略には人材管理や、業務方法の見直しを行っていく必要があることを理解しましょう。
人材採用
会社が企業活動を活発化させるにあたり、経営戦略に基づいた人材採用が必要です。人材採用を強化したい場合、企業が求める人材を具体的に決めておくことが有効でしょう。検討例として考えられる事項は以下の通りです。
- 業務に必要な資格や経験を持っている
- 将来の明確なビジョンを持っている
- 身につけたいスキルがある
応募者が企業の求める人材であるかどうかを面接で確認することで、ミスマッチによる早期離職やトラブル防止にも繋がります。
教育研修
従業員の業務スキルに不安がある場合、適切な研修を実施することが必要です。業務がスムーズに進まない理由の一つとして、従業員の職務遂行スキル不足が挙げられます。
ただやみくもに研修を計画するのではなく、スキルが伸び悩んでいる理由の理解が必要です。従業員が業務するにあたって困っている部分を把握し、カバーできるような研修を取り入れるとよいでしょう。適切な研修の実施は企業の成長だけでなく、従業員の働きやすさにも繋がります。
労務管理
労務管理として、従業員の働く環境の整備を図るケースもあります。近頃は時間外労働が問題視されていますが、改善に至っていない企業も少なくありません。
労務は従業員の働き方に直結する部分であるため、改善がなされないと人材流出やトラブルに繋がります。現場の調査を行いながら、人材の確保や非効率な部分のIT化を進めて生産性を上げる試みが必要です。労務を改善することで従業員の満足度に繋がり、長期的に見ると企業へよい影響をもたらします。
評価制度の策定・見直し
社員のモチベーションアップには、業務の評価制度の策定や見直しは欠かせません。時代や業務内容の変化により等級制度の見直しが必要なこともあるので、定期的な確認が必要です。
スキルアップによる報酬制度が充実していれば、従業員は目的意識を持って仕事に取り組むことができます。成果を挙げた人へのインセンティブや、自信を持てるような評価制度を策定するとよいでしょう。
人材リテンション
企業の貴重な人材が流出しないように、離職を引き止める取り組みも重要です。近頃は働き方の多様化や価値観の広がりから、人材が企業にとどまってくれる保証がない時代に突入しています。
ほかの企業との差別化を図る施策を取り入れつつ、離職率をいかに下げるかの検討が必要です。例としては、賃金アップや育休制度の充実などが挙げられます。
人事戦略で活用可能な4つのフレームワーク
人事戦略の概要を把握したところで、自分の会社では具体的に何に取り組むべきか気になった人もいそうです。有効なフレームワークを取り入れ、自社の課題や現状理解に役立てましょう。
MVV
MVVとはミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)の頭文字を取って名付けられたフレームワークのことです。企業は以下の3つの内容を検討することで、取り組むべき行動を整理できます。
- ミッション:社会で果たすべき役割
- ビジョン:中長期的な目標
- バリュー:目標達成のための具体的な行動
MVVを明確にしておくことで、企業活動に迷いが生じた時の判断をシンプルに行えるでしょう。
ロジックツリー
ロジックツリーとは大きな目標を1つ立て、達成するための方法をいくつか挙げて検討していく方法のことです。チームで話し合いを行う際、論点のずれや本来の目的の脱線が起きてしまうことは少なくありません。ロジックツリーには問題やアイデアの見える化に有効なため、認識のずれを防ぎ検討を行うことができます。
また、具体案が木の枝のように広がるため、方法の掘り下げや優先順位づけに役立つ手法です。
PEST分析
PEST分析とは政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの頭文字を取って名付けられたフレームワークのことです。
PEST分析は、社内の課題を超えて広い視野からの人事戦略計画に役立ちます。増税や景気の影響により、10年後に今と同じような経営で会社を存続できるとは限りません。将来の予測をしながら、外的要因にも目を向けた政策を取り入れることができます。
SWOT分析
SWOT分析とは、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つを整理するフレームワークのことです。
4マスの表に自社の特徴を落とし込むことで、自社の現状把握に繋がります。SWOT分析を用いると、自社の強みを生かした人事戦略を立てることが可能です。また、弱みを補強する際にポジティブな面からヒントをもらえる可能性もあります。
人事戦略の立て方
人事戦略の必要性を感じる人にとって、実際の計画の立て方が気になる人は多そうです。人事戦略策定の流れを理解して、今後の行動のイメージに繋げましょう。
STEP1.目的の明確化
まずは人事戦略を行う目的を明確にして、チーム全体で共有します。人事戦略の目的を考える際、担当者全体で最初に行うべきことは自社の経営ビジョンの再確認です。経営ビジョンには会社が大切にしたい考えや行動指針が含まれており、人事戦略に落とし込むことで計画に一貫性が生まれます。経営ビジョンを理解しながら、全体の目的のほかに各部署において目指したい目標についても検討しましょう。
STEP2.環境調査・分析
現場でのヒアリングやオペレーション確認などを通して、自社の環境調査や分析を行います。改善が必要であり課題として挙がってはいるものの、実態が不明瞭なケースがあることも事実です。実態把握のために現場に出向き、達成したい目標に対して何が足りないかを知るために行います。環境調査や分析は、前述したフレームワークのようなツールを利用して行うケースもあります。
STEP3.戦略立案〜策定
目的の明確化と環境調査を踏まえて、実際に行う事柄を決める段階に入ります。戦略を実現するためには、以下のような具体的な計画も必要です。
- 何をどの程度用意するか
- 成果をどのような方法で評価するか
- いつまでに実現するか
例えば、現場での長時間労働が問題となっている場合、オペレーションの見直しとして作業のIT化が有効であると考えられます。IT化を進めるための導入箇所の検討や、費用の見積もりなどもこのタイミングで行うことが必要です。
STEP4.実施と評価
実行中の人事戦略について、定期的にモニタリングを実施し評価を行います。振り返りの結果、効果が現れていない場合は戦略を再考する必要があるでしょう。ただし、人事戦略は人材を対象にする特性上、効果が一定期間で現れるとも限らないものです。長いスパンで評価を行ったり、先に戦略を導入した他社の動向を参考にしたりすることも一つの方法と言えます。
人事戦略の事例
人事戦略を行っている企業があれば、具体例として知っておきたいものです。ここでは大手企業の事例を3つ紹介するので、導入の参考にしてください。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は人間力を経営資源と考え、トヨタウェイという人材育成プログラムを用意しています。目標達成のための要点は、以下の通りです。
- 自己成長の促進
- 従業員の能力向上
- 中長期的な人材育成計画
- OJTの重視
上記の要点は、従業員一人ひとりのスキルを生かすための「人間性尊重経営」の実現に即した内容といえるでしょう。
三菱電機株式会社
三菱電機株式会社では、入社後3年間を「基礎的育成期間」として従業員一人ひとりに合った研修を実施しています。3年間で受けられる研修は、基本的なビジネススキルから職種別の技術などさまざまです。技術職研修では、初級から上級まで自分のレベルに合った内容を受講することができます。
参考:三菱電機株式会社「新卒採用|採用情報|企業情報|三菱電機」
フジテレビジョン株式会社
フジテレビジョン株式会社では、働きやすさの支援として以下のような制度を整えています。
- テレワーク・時差出勤
- 復職支援
- 介護支援
さまざまな家庭の事情で、働き方を変えなければならない従業員は少なくありません。従業員に選択肢を用意し、柔軟に対応することで離職率の低下にも繋がると考えられます。
人事戦略で生産性を最大化するため、戦略を立て実行しよう
企業の問題解決までの道のりは簡単ではないものの、人事戦略の正しいプロセスを踏むことで達成したい目標に近づくことができます。当記事で紹介したフレームワークや計画立案の流れを参考にしながら、課題解決に向けた人事戦略を実現させましょう。
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2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。