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経理の転職事情とは?失敗しない転職のポイントを紹介

栗田 謙人
更新日:2023/09/12

「現状の給与に不満がある」、「自身のスキルを活かせず業務のモチベーションが上がらない」、「職場の人間関係に不満がある」などさまざまな理由から、転職を考えている方は多いと思います。その一方で、「経理の転職は難しいのではないか」、「転職市場で評価されるかわからない」、「転職活動の失敗が怖い」といった理由から、転職活動に踏み切れずに悩んでいる方もいるでしょう。

この記事では、転職を考えている経理担当者に対して、満足行く転職の実現のために必要なポイントを紹介いたします。

目次
  • 経理の転職を考える理由とは?
    • 現状の待遇に不満がある
    • 経理のスキルアップをしたい
    • 仕事のモチベーションが上がらない
    • 職場の人間関係が不満
  • 経理の転職は難しい?
    • 経理は転職しやすい職種
    • 経理に転職するための準備が大切
  • 経理の転職が有利になるスキルとは?
    • 経理業務の実務経験
    • 日商簿記
    • 英語力
    • その他の資格
  • 経理の転職がしやすいタイミングとは?
    • 転職が成功しやすい季節は1月~2月
    • 転職しやすい年齢は30代
    • 業績好調の企業や新規事業が計画されている企業
  • 経理の転職先は企業規模に注目
    • 大企業の場合
    • 中小企業の場合
    • ベンチャー企業の場合
  • 経理の転職先を選ぶ決め手とは?
    • 年収や待遇の条件
    • 業務内容
    • 人間関係・社風
    • 優先順位をつけることが大事
  • 経理の転職が成功する志望動機とは?
    • その企業で働きたい理由を明確にする
    • 企業にどのような貢献ができるかを明らかにする
  • 経理に転職するための方法
    • 転職エージェントを利用する
    • 経理転職に特化した求人情報サイトを利用する
  • 経理の面接のポイントとは?
    • 自己PRを明確にする
    • 逆質問を考えていく
    • 面接のマナーを守る
    • フォローアップも大切にする
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経理の転職を考える理由とは?

転職活動を始める際には、転職をする理由を明確にする必要があります。転職活動の面接の際には必ずといっていいほど転職理由が質問されますし、転職理由を明確にしないまま転職をしてしまうと前職の方が良かったと思ってしまうことがあるためです。

そこで以下では、転職の理由として多いものを、4点ご紹介します。

現状の待遇に不満がある

給与や残業時間、休日日数といった労働に対する待遇は、自己の努力ではなかなか変えることができません。なかには、入社前の説明と実際の待遇が違うことに悩んでいる方もいるかもしれません。

給与を上げるため、残業時間を減らすため、休日日数を確保するために転職を行い、私生活の向上を目指す方は多くいます。

経理のスキルアップをしたい

大企業の経理職の場合、業務内容が分業化されていて特定の分野のスキルは身につくものの、他の分野のスキルが身につかない、ということがあります。

将来的に幅広くスキル(税務会計、請求書作成、決算書作成、現金預金や手形管理、法人税計算、年末調整、社会保険料計算、固定資産管理、買掛金管理、売掛金管理、減価償却管理、データ入力、伝票作成、領収書整理、給与台帳作成など)を身につけたいと考えている方には、このような状況はつらいかもしれません。

より幅広い分野の業務を行える、より専門性を深めることができる職場を求めて、転職を検討される方も少なくありません。

仕事のモチベーションが上がらない

はじめはやる気に満ちていた業務でも、次第に日々のルーティーンワークになってしまい、仕事に対するモチベーションを失ってしまうことは珍しくありません。特に、経理業務は毎年度同じような業務をすることもあり、モチベーションを保ちにくい側面もあります。

このような状況では、毎日会社に通勤することも億劫になってしまいます。転職によって新たな業務内容や労働環境を手にすることで、仕事に対するモチベーションを上げることができるでしょう。

職場の人間関係が不満

日中の多くの時間を過ごす職場で円滑に仕事を行うためには、人間関係が非常に重要です。人間関係がギクシャクしていたり、ハラスメントが横行するような職場では、安心して仕事を行うことはできません。

経理のようなバックオフィス業務は転勤や異動が少ないため、人間関係が固定化されやすい特徴があります。そこで、転職によって職場の人間関係をリセットすれば、安心して仕事を行える環境を手にすることができるでしょう。

経理の転職は難しい?

転職というと、どうしても敷居が高く感じてしまいがちですが、経理の転職は難しいのでしょうか。以下では、経理の転職難易度について説明いたします。

経理は転職しやすい職種

結論からいいますと、経理は転職がしやすい職種です。その理由を2点紹介します。

まず1点目は、経理は非常に需要が高い業務である点です。経理業務はどのような会社でも必ず必要となる業務であるため、経理担当者の需要は高いといえます。また、経理業務は汎用性が高く前職で学んだスキルを転職先でも活かしやすいため、中途採用が活発な部門であるともいえます。

2点目は、実務経験や資格をアピールしやすい点です。経理業務では、伝票作成や決算書作成、税務会計など様々な業務を行いますが、前職で担当していた業務の説明をすることで、自身が有しているスキルを明確にアピールすることができます。また、経理業務に直結する簿記等の資格を有していることも、自身が有しているスキルのアピールに繋がります。

このような理由から、経理は比較的転職しやすい職種であるといえます。

経理に転職するための準備が大切

経理への転職を成功させるには準備が大切です。転職前に自己分析を行い、自分の強みや弱みを把握しましょう。また、自分が経理としてどのようなキャリアを築いていきたいのか、そのほかに職場環境や具体的な業務を考えておくことも重要です。それに加え、職務経歴書や履歴書の作成、面接の練習など、転職活動に必要な準備をしっかりと行いましょう。

経理の転職が有利になるスキルとは?

転職活動を有利に進めるためには、自身の市場価値を高めることが重要です。以下では、自身の市場価値を高め、転職を有利に進めるために必要なスキルについてご紹介します。

経理業務の実務経験

転職活動でもっとも重要なのは、経理業務の実務経験です。経理業務は比較的アウトソーシングしやすい業務であるため、社内には最低限の経理担当者しか雇用していない企業も多くあります。そのため経理業務の転職者は、即戦力となることが期待されていると言えるでしょう。

応募条件として、「経理業務を◯年以上経験していた」、「月次決算を一人で行うことができる」など、具体的に実務経験を要求している求人も多くあります。

転職活動の際には、自身が前職で担当しており、アピールできる業務について、説明できるようにしておく必要があります。具体的には、「連結決算書類の作成ができる」とか、「税務申告を行っていた」等です。自身が有しているスキルを上手にアピールできれば、転職活動を有利に進めることができるでしょう。

日商簿記

経理業務と簿記は切っても切り離せない関係にあります。経理はお金の流れを整理・管理する業務であり、そのためには簿記の知識が不可欠であるためです。

転職活動で自身のスキルをアピールするためには、日商簿記2級以上を有している必要があります。2級を有していれば、ビジネスシーンで役立つ仕訳のスキルを有していることを証明できます。

日商簿記3級であっても、”ないよりはまし”ではありますが、即戦力が求められる求人では、有利に働かない可能性が高いです。反対に、日商簿記1級は相当難易度が高く、転職のために取得するのは現実的ではありません。

なお、簿記の資格には、「日商簿記」、「全商簿記」、「全経簿記」がありますが、一般に簿記といえば日商簿記を指し、転職市場で評価されるのも日商簿記であることに注意が必要です。

英語力

業種によりますが、英語力は重要なスキルの一つです。経理業務でも、海外とのやり取りが発生することがあります。そのため、英語力があるとより広い業務に取り組むことができるでしょう。

その他の資格

日商簿記の他に経理のスキルをアピールできる資格としては、給与計算検定、ビジネス会計検定、電子会計実務検定等がありますが、日商簿記2級に比べると優先度は下がります。資格でスキルをアピールするためには、まずは日商簿記2級を取得し、余裕があればこれらの資格も検討するといいでしょう。

経理の転職がしやすいタイミングとは?

転職活動は、適切な時期に行うことで、有利に進めることができます。以下では、転職がしやすい季節や、転職に適した年齢について説明します。

転職が成功しやすい季節は1月~2月

経理の転職が成功しやすい季節は、1月〜2月です。日本の多くの会社は3月が年度末であり、5月末の税務申告期限に向けて各種計算書類を作成することとなります。そのため1月〜2月は繁忙期に向けて人員を確保するために採用活動が活発となるからです。

そのため、転職活動は求人が多く出ている1月〜2月頃に行うのが良いでしょう。ただし、転職活動には様々な準備が必要となるため、転職活動の準備は、それ以前から計画的に行っておく必要があります。

転職しやすい年齢は30代

経理業務の転職しやすい年齢は30代です。30代は入社してからある程度がたち、経理業務の実務経験を十分有しているため、即戦力として転職市場で評価されやすいためです。

20代の場合には、即戦力よりもポテンシャルが重視されます。そのため、積極的に資格を取得するなどして、やる気があることを示せれば、転職活動の成功につながるでしょう。

業績好調の企業や新規事業が計画されている企業

経理の転職を成功させるためには、転職先の企業選びが重要です。企業の規模だけでなく、業績が好調で、増員が予定されている企業は転職先として魅力的です。また、新規事業を展開している企業も増員の可能性が高く、注目すべきでしょう。

経理の転職先は企業規模に注目

経理業務は企業の規模によって、その業務内容が大きく異なります。そのため、転職の際には、転職先の企業の規模に注目することによって、転職後の業務内容をある程度把握することができます。以下では、企業規模ごとの経理業務の大まかな特徴について説明します。

大企業の場合

大企業の場合、経理部門にある程度の人数が採用され、チームで業務を行います。そのため、一人が担当する業務の幅は狭くなりがちです。その一方で、親子会社間の連結決算等、より専門性の高い業務を行うこともあります。

すなわち、大企業の経理部門では、狭く深い知識が必要となります。

中小企業の場合

中小企業の場合、経理部門は少人数のことが多いです。そのため、一人で幅広い業務を担当することとなります。その一方で、専門性の高い業務はそこまで多くありません。

すなわち、中小企業の経理部門では、広く浅い知識が必要となります。

ベンチャー企業の場合

ベンチャー企業も、基本的には中小企業と同様に、幅広い経理業務を担当することとなります。ただし、ベンチャー企業では管理部門の体制が十分に整っていない場合も多く、経理担当者は経理のみならず、総務や法務、人事など、管理業務を全般的に担当するケースもあります。

これまでに経験したことのない業務を行わなければならないため、ベンチャー企業の経理は大変であり、またやりがいがあるともいえます。

経理の転職先を選ぶ決め手とは?

転職活動が成功すると、複数の企業から内定オファーを獲得できる場合があります。そのような場合には、何を基準に転職先を決めればいいでしょうか。以下では、転職先を選ぶ際のポイントを紹介します。

年収や待遇の条件

転職の際に、給与アップを狙う方は多いでしょう。特に、経理職は営業職のように成果給やインセンティブが多くないこともあり、年収アップを狙うには転職が最適な場合も多いです。そのような方には、給与の条件が決め手となることも多いでしょう。

入社後のミスマッチを防ぐためにも、選考がある程度進んだ段階で、具体的な条件を質問して確認しておくといいでしょう。また、給与だけでなく、福利厚生や各種手当の内容も確認しておくと、納得のいく転職先が決定できるでしょう。

業務内容

自身の経理スキルのアップややりがいを求めて転職をした場合には、従事する業務の内容を重視するといいでしょう。面接では、入社した場合に従事する業務や今後のキャリアパスについて確認しておくといいでしょう。

人間関係・社風

現状の人間関係に不満があっての転職の場合には、転職先企業の人間関係や社風が重要となります。社内の人間関係や社風については、そこで勤務する社員に直接聞くのが一番ですが、センシティブな話題でもあり、直接は聞きにくい場合もあります。

そのような場合には、口コミサイトやSNS等で、社員の生の声を収集するといいでしょう。

優先順位をつけることが大事

転職の際に重視する事項は人それぞれです。理想をすべて備えた企業に巡り会えることは稀であるため、転職先に求める条件の中で、譲れないポイントはどこか、ある程度妥協できるポイントはどこかを検討し、優先順位を付ける必要があります。

優先順位を検討し、妥協できないポイントと妥協できるポイントを分析することで、満足いく転職先の決定ができるでしょう。

経理の転職が成功する志望動機とは?

転職活動でもっとも重要な要素の一つに、志望動機があります。志望動機は履歴書には必ず記載しますし、面接でもほぼ必ず質問されます。面接官を納得させる志望動機を練ることは、転職活動成功の第一歩と言えます。ここでは、説得力のある志望動機を紹介します。

その企業で働きたい理由を明確にする

志望動機で重要なことは、その企業に対する志望度を明らかにすることです。いくら優秀な人材であっても、志望度が低いと思われてしまったら、内定を獲得することはできないでしょう。

志望度を伝える際には、自分がやりたいこと・求めていることは何かを伝えた上で、それが前職ではなぜ達成できなかったのか、転職すればどのように達成できるのかを説得的に説明する必要があります。例えば、私は経理業務の中でも〇〇をやりたいが、これは前職では△△という理由でできなかったため、これができる貴社で働きたい、のように理由を明確にしながら、説得的に説明します。

企業にどのような貢献ができるかを明らかにする

経理の中途採用は新卒採用と異なり即戦力となることが期待されるため、自分が企業に対して求めることだけではなく、自身が企業に対してどのように貢献することができるのかをアピールしなければなりません。

前職ではどのような経理業務を担当していたか、どのようなスキルを有しているのかを説明した上で、転職した場合にはその経験がどのような形で企業に活かすことができるのかを伝えることができれば、内定獲得に近づくでしょう。

経理に転職するための方法

経理への転職は、他の職種と同様、企業に直接応募をするか、転職エージェントからの紹介や求人サイト経由で応募する方法があります。

転職エージェントを利用する

転職エージェントを利用することで、転職活動をスムーズに進めることができます。転職エージェントは、自分の希望条件やスキル、キャリアプランをヒアリングし、求人情報を紹介してくれます。また、面接対策や条件交渉のアドバイスも受けることができます。転職エージェントは、無料で利用できるものが多いため、積極的に活用しましょう。

経理転職に特化した求人情報サイトを利用する

経理転職に特化した求人情報サイトを活用することで、自分に合った求人を見つけることができます。経理転職に特化した求人情報サイトは、経理職の求人情報が多く掲載されており、自分に合った求人を探すことができます。また、求人情報に加えて、転職に関するアドバイスや情報も提供されているため、転職活動に役立てることができます。

経理の面接のポイントとは?

内定獲得のためには、面接を成功させることが不可欠です。ここでは、面接で注意すべき点について解説します。

自己PRを明確にする

時間を使って自己PRを練ることができる履歴書や職務経歴書の作成段階とは異なり、面接では自己PRを口頭で述べる必要があるため、事前にしっかりと準備する必要があります。また、面接での問答から更に深い質問がされることもあります。

前職で担当していた業務や有しているスキルについてはもちろん、面接の問答でも滞りなく答えられるようにしておきましょう。特に経理職として、会社やプロジェクトにどのような貢献ができたか等、具体的なストーリーを交えて自己PRすると良いでしょう。

逆質問を考えていく

逆質問がない場合、面接官は自社に対する志望度が低いのではないかと考えます。企業のホームページや口コミサイトを事前に閲覧し、逆質問を考えておきましょう。

ただし、ホームページ上で調べればすぐにわかる事項を質問することは、下調べをせずに面接を受けに来たと余計悪い印象を与えることとなり、逆効果です。ホームページで公開されている情報を発展させ、企業に対して関心を持っていることがわかるような質問をするようにしましょう。

経理に関する質問であれば、日々の各業務の割合はどれくらいか、経理職のキャリアパスはどのようになっているか等を聞くといいでしょう。

面接のマナーを守る

経理担当者の転職に限られませんが、転職活動では社会人として当然求められるマナーを守らなければなりません。具体的には、服装や髪型等の身だしなみ、入退室時の所作、適切な敬語などです。

これらは社会人であれば守って当然のマナーであり、これらが守られていない場合、面接官は話を聞くことなく不合格の判断を下すでしょう。もし、マナーに関して不安がある場合には、事前にマナー本を読むなどして、マナーに関する知識を身に着けておく必要があります。

また、経理職はチームで業務を行うこともあり、円滑なコミュニケーションができるかどうかも重要なポイントです。質問に対しては一問一答を心がけ、質問に関係のないことまで答えることは控えましょう。

フォローアップも大切にする

面接後、企業側にフォローアップを行うことは、転職活動において重要です。面接当日には、感謝の気持ちを伝えるメールを送信することが望ましいでしょう。

経理への転職を成功させよう

ここまで、経理担当者の転職事情について説明しました。経理業務は需要が高く、汎用性も高い業務です。

自身の経験やスキル、適切なタイミングを見極め、業界研究をしっかりと行えば、納得の行く結果を出せるでしょう。

参考:経理部の仕事内容とは|経理になるには?転職や就職に有利な資格を紹介!

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。