ボーナスにも税金や保険料はかかる?手取り額のシミュレーションまで紹介
一般企業の中にはボーナスをもらえる会社がありますが、税金がどれほどかかるか知らない人は多そうです。ボーナスに税金がかからない場合や手取りの計算方法がわかると、受け取れる額の予測がつくでしょう。
この記事では、ボーナスにかかる税金や保険料について解説します。
- ボーナスにかかる税金や保険料は5つある
- ①所得税
- ②健康保険料
- ③雇用保険料
- ④厚生年金保険料
- ⑤介護保険料
- ボーナスの受給月と退職月が一致するケース
- 産前産後や育児休業中にボーナスが支払われるケース
- ボーナス手取り額計算の条件
- ボーナス手取り額の計算結果
- ボーナスの手取り額シミュレーション
- ボーナス手取り額計算の条件
- ボーナス手取り額の計算結果
- ボーナスの手取り額シミュレーション
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ボーナスにかかる税金や保険料は5つある
会社からもらえるボーナスの明細には、以下の5つの税金や保険料が記載されているはずです。
- 所得税
- 健康保険料
- 雇用保険料
- 厚生年金保険料
- 介護保険料
ここでは、給与明細に記載されている5つの項目の意味について解説します。
①所得税
所得税とは、稼いだ額に応じて国へ支払う税金のことで、企業がボーナスから天引きしています。所得税は毎月の給与からも引かれていますが、ボーナスに対しても適用される税金です。なお、同じような仕組みの税金に住民税がありますが、ボーナスからは引かれません。住民税は昨年1年間で稼いだ額で計算され、12ヶ月で割った金額が毎月の給与から引かれているためです。
②健康保険料
健康保険料とは、病気やけが、出産や死亡などの思わぬ出費に備えて支払う保険料のことです。会社員の場合、健康保険料は労働者と会社が半分ずつ負担するシステムとなっています。毎月の給与やボーナスから天引きされる健康保険料は、労働者が負担する分です。日頃から健康保険料を適切に支払っているおかげで、病院にかかった際の自己負担分が少なく済んでいます。
③雇用保険料
雇用保険料とは、失業や育児休業など仕事ができなくなった時に備えて支払う保険料のことです。保険料は労働者と会社の両者が支払いますが、企業のほうが多く出すシステムになっています。毎月の給与やボーナスから天引きされる雇用保険料は、労働者が負担する分です。日頃から雇用保険料を支払っているおかげで、働けなくなった場合の補償を受けられるシステムになっています。
④厚生年金保険料
厚生年金保険料とは、企業に勤める人が将来的に厚生年金を受け取るために支払う保険料です。厚生年金は65歳以上から受け取れますが、若いうちに病気やけがによって働けなくなった場合にも支払われます。厚生年金もほかの保険料と同じように、会社と個人が半分ずつ負担するシステムです。個人が厚生年金保険料を支払っていれば、将来的に国民年金と厚生年金を両方受け取れます。
⑤介護保険料
介護保険料とは、将来的に介護サービスを受けられるように40歳から支払う保険料のことです。人は誰でも高齢になると、体の衰えにより他者からの生活サポートを必要とするリスクが高まります。万が一に備えて介護保険料を負担し、いざサービスが必要になった際に不安が少なく済むよう備えるシステムです。介護保険料もほかの社会保険と同じように、会社と労働者が半分ずつ負担しています。
ボーナスに税金だけでなく社会保険料がかかるのはなぜ?
ボーナスに税金だけでなく社会保険料がかかるのは、不公平な制度にならないようにするためです。ボーナスから社会保険料が引かれるようになる前、月々の給与を少なくし賞与を多めに支払う企業が多くありました。年間で労働者に支払う金額が同じでも、月々の給与を少なくするほうが会社の保険料負担が小さく済むためです。
制度システムを自社に有利になるよう利用する会社が増え、企業ごとに不公平さが生まれ始めました。制度による会社間の不公平をなくすために、ボーナスからも社会保険料が引かれるようになったのです。
ボーナスに社会保険料がかからないケースとは?
中には、ボーナスをもらったものの社会保険料がかかっていないという人もいるでしょう。ボーナスを受け取るタイミングによっては、社会保険料がかからないケースもあります。
ボーナスの受給月と退職月が一致するケース
ボーナスをもらった月に退職する場合、社会保険料がかからないケースがあります。具体的には、ボーナスをもらった月の末日以外に退職する場合は社会保険料がかかりません。社会保険料は、退職した日の翌日の前月分までを支払うシステムだからです。
ボーナスを7月10日にもらい7月31日に退職した場合、翌日8月1日の前の月である7月分の社会保険料がかかります。一方、7月30日に退職した場合、翌日7月31日の前月は6月であるため7月分の社会保険料の支払いはありません。
産前産後や育児休業中にボーナスが支払われるケース
産前産後や育児休業中にボーナスが支払われるケースでは、社会保険料はかかりません。令和4年10月1日よりスタートした、産前産後や育児休業中における新制度を知っておきましょう。今までの制度では、6月5日から育児休業がスタートし同月の6月29日に終了した場合、ボーナスへの保険料免除はありませんでした。
しかし新制度では、育児休業がスタートした月内に14日以上育休を取得した場合、社会保険料は免除となります。6月5日に育児休業をスタートし、6月29日に終了した場合でも6月分の社会保険料を支払う必要はありません。
ボーナスにかかる税金や社会保険料は源泉徴収票で確認できる
ボーナスにかかる税金や社会保険料は、会社からもらう源泉徴収票でチェックできます。源泉徴収票をもらったら、以下の2つの項目を確認しましょう。
- 所得税は「源泉徴収票額」
- 社会保険料は「社会保険料等の金額」
自分がどの項目にどれほど支払っているか理解できる上、次のボーナスの手取り予想ができます。
ただし、中にはこれからもらうボーナスの手取り額を正確に知りたい人もいるでしょう。次章では、ボーナスの計算方法を例に沿って解説します。
ボーナスの手取り例①30代、東京勤務、独身の場合
ここでは、ボーナス手取り例の1つ目として、30代東京勤務で独身のケースを解説します。
ボーナス手取り額計算の条件
今回ボーナスの手取り額を計算する条件は、以下の通りです。
- 勤務先:東京都内の一般企業
- ボーナス支給前月の手取り月収:35万円
- 年齢:35歳
- 扶養家族:なし
- 社会保険:「協会けんぽ」に加入
- ボーナスの総支給額は70万円
ボーナス手取り額の計算結果
ここでは、ボーナスの総支給額が70万円だった場合の手取り額を計算します。ボーナスの手取り額は、総支給額から所得税と社会保険料を引いた金額です。
ボーナスの手取り額=ボーナスの総支給額-(所得税+社会保険料)
所得税や社会保険には計算式があり、以下のように算出します。
- 厚生年金保険料 = ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て)× 厚生年金保険料率(0.183)× 1/2
- 健康保険料 = ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て)× 健康保険料率 × 1/2
- 雇用保険料 = ボーナスの総支給額 × 雇用保険料率
- 所得税(源泉徴収税) = (ボーナスの支給額 - 社会保険料)× 源泉徴収税率
一つひとつ計算してみましょう。
- 厚生年金保険料 = 70万円 × 厚生年金保険料率(0.183) × 1/2 = 6万4,050円
- 健康保険料 = 70万円 × 健康保険料率(0.098) × 1/2 = 3万4,300円
- 雇用保険料 = 70万円 × 雇用保険料率(3/1,000) = 2,100円
- 所得税(源泉徴収税) = (70万円 - 10万0,450円) × 源泉徴収税率(0.081) = 4万8,563円
厚生年金保険料率は平成29年9月以降より固定の比率で計算
健康保険料率は令和4年3月分からの保険料率より計算
雇用保険料率は令和4年度雇用保険料率より計算
源泉徴収税率は国税庁の「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を使用(前月の給与の手取り額が35万円であるため、該当の税率で計算)
それぞれの計算結果は、以下の通りです。
- 厚生年金保険料:6万4,050円
- 健康保険料:3万4,300円
- 雇用保険料:2,100円
- 所得税(源泉徴収税額):4万8,563円
所得税と社会保険料の合計金額=13万7,022円
最後にボーナスの総支給額から、所得税と社会保険料の合計である13万7,022円を引いて終了です。
ボーナスの手取り額=70万円-14万9,013円=55万987円
30代東京勤務である独身の場合、ボーナス総支給額70万円の手取り額は55万987円となります。
ボーナスの手取り額シミュレーション
同じ条件で、ボーナスの総支給額によって手取り額がどう変わるかシュミレーションしてみましょう。
支給額 | 手取り額 |
---|---|
10万円 | 8万28円 |
20万円 | 16万56円 |
30万円 | 24万83円 |
40万円 | 32万111円 |
50万円 | 40万138円 |
60万円 | 48万166円 |
70万円 | 55万987円 |
80万円 | 64万221円 |
90万円 | 72万249円 |
100万円 | 80万276円 |
ボーナスの手取り額は、総支給額のおおよそ8割ほどであることがわかります。
ボーナスの手取り例①40代、大阪勤務、扶養家族2人の場合
ここでは、ボーナス手取り例2つ目として40代大阪勤務、扶養家族2人のケースを解説します。
ボーナス手取り額計算の条件
今回ボーナス手取り額を計算する条件は、以下の通りです。
- 勤務先: 大阪府内の一般企業
- ボーナス支給前月の手取り月収: 45万円
- 年齢: 40代
- 扶養家族: 2人
- 社会保険: 協会けんぽに加入
- ボーナスの総支給額: 90万円
ボーナス手取り額の計算結果
ここでは、ボーナスの総支給額が90万円だった場合の手取り額を計算します。ボーナスの手取り額は、ボーナスの総支給額から所得税と社会保険料を引いた金額です。
ボーナスの手取り額=ボーナスの総支給額-(所得税+社会保険料)
先ほどと同じように、所得税や社会保険料の計算を行います。今回のケースは40代であるため、社会保険の中に介護保険料を加えての計算が必要です。
厚生年金保険料=ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て)×厚生年金保険料率(=0.142)×1/2
健康保険料=ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て)×健康保険料率×1/2
雇用保険料=ボーナスの総支給額×雇用保険料率
介護保険料 = 協会けんぽの標準報酬月額 × 介護保険料率
所得税(源泉徴収税)=(ボーナスの支給額-社会保険料)×源泉徴収税率
一つひとつ計算してみましょう。
- 厚生年金保険料 = ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て) × 厚生年金保険料率(0.142) × 1/2
- 健康保険料 = ボーナスの総支給額(1,000円未満切り捨て) × 健康保険料率 × 1/2
- 雇用保険料 = ボーナスの総支給額 × 雇用保険料率
- 介護保険料 = 協会けんぽの標準報酬月額 × 介護保険料率
- 所得税(源泉徴収税) = (ボーナスの支給額 - 社会保険料) × 源泉徴収税率
厚生年金保険料率は平成29年9月以降より固定の比率で計算
健康保険料率は令和4年3月分からの保険料率より計算
雇用保険料率は令和4年度雇用保険料率より計算
源泉徴収税率は国税庁の「賞与に関する源泉徴収税額の算出率の表」を使用(前月の給与の手取り額が45万円であるため、該当の税率で計算)
それぞれの計算結果は、以下の通りです。
- 厚生年金保険料:6万3,900円
- 健康保険料:5万3,100円
- 雇用保険料:2,700円
- 介護保険料:1万4,400円
- 所得税(源泉徴収税額):7万6,590円
所得税と社会保険料の合計金額=21万690円
最後にボーナスの総支給額から、所得税と社会保険料の合計である21万690円を引いて終了です。
ボーナスの手取り額=90万円-121万690円=68万9,310円
40代大阪勤務、扶養家族2人の場合、ボーナス総支給額90万円の手取り額は68万9,310円となります。
ボーナスの手取り額シミュレーション
同じ条件で、ボーナスの総支給額によって手取り額がどう変わるかシュミレーションしてみましょう。
支給額 | 手取り額 |
---|---|
10万円 | 7万8,154円 |
20万円 | 15万6,574円 |
30万円 | 23万4,861円 |
40万円 | 31万3,281円 |
50万円 | 39万1,434円 |
60万円 | 46万9,721円 |
70万円 | 54万8,008円 |
80万円 | 62万6,295円 |
90万円 | 68万9,310円 |
100万円 | 78万2,868円 |
今回の条件でも、ボーナスの手取り額は総支給額の約8割ほどになりました。
ボーナスの手取りは総支給額の約8割ほどになる
ボーナスは月々の給与と同じように税金や社会保険料がかかるため、総支給額の約80%ほどを受け取れます。ボーナスが思ったより少ないと感じた場合、当記事を参考にしながら手取り額のシュミレーションを行いましょう。
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2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。