ノウハウ

人事・総務の仕事内容とは?求められるスキルや有利になる資格などを紹介

栗田 謙人
更新日:2023/09/29

人事や総務への就職を考える際、まずは仕事内容が気になる人は多いでしょう。この記事では、人事や総務の仕事内容や必要なスキルについて紹介しています。最後まで読むと、人事や総務で働く自分をイメージできるでしょう。

目次
  • 人事・総務の仕事内容
    • 人事の主な仕事内容
      • 採用活動
      • 教育・研修
      • 人事制度の検討
      • 労務管理
    • 総務の仕事内容
      • 施設・備品管理
      • 文書・契約管理
      • 庶務業務
  • 人事・総務の平均年収
    • 人事の平均年収
    • 総務の平均年収
  • 人事・総務に必要なスキル・経験
    • 人事に必要なスキル
      • コミュニケーション能力
      • 調査・分析能力
      • 法律知識
    • 総務に必要なスキル
      • パソコンのスキル
      • 事務処理能力
      • 情報処理能力
  • 人事・総務からのキャリアパス
    • 人事のキャリアパス例
    • 総務のキャリアパス例
  • 人事・総務への転職に有利になる資格
    • 人事に有利になる資格例
      • キャリアコンサルタント
      • 産業カウンセラー
    • 総務に有利になる資格例
      • 社会保険労務士
      • 衛生管理者
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人事・総務の仕事内容

人事や総務について知る上で、まずはそれぞれの仕事内容が気になるところです。企業内でのそれぞれの役割を理解することは、転職活動の第一歩に繋がるでしょう。

人事の主な仕事内容

人事部門は企業活動の財源である「ヒト・モノ・カネ・情報」の中でも、人を専門とします。企業全体の目標を達成するために、人材面からアプローチする部署です。まずは人事の主な仕事内容について解説します。

参考: 人事の仕事内容や企業での役割|向いている人の特徴や必要なスキルを紹介 | SYNCA(シンカ)

採用活動

採用活動では、就職・転職希望者の受け入れに関する業務を行います。新卒の場合は、主に就職活動が解禁される時期から募集を出し、試験や選考結果の連絡を行うという流れです。

採用試験では応募者の持つ資質や熱意、人間性を確認し会社にフィットする人材かを判断します。選考を通して企業の性格と応募者のミスマッチによる早期退職を防ぐことも、人事の仕事の一つです。また、年間を通して、大学を卒業見込みの新卒者や中途採用者それぞれの受け入れを行います。

教育・研修

社員のスキルアップを図るために、研修の計画から実施までを担当します。業務に必要な知識の獲得を本人の独学に任せるのは難しいため、研修でサポートしていくことが大切です。

新卒者のための基本的なビジネスマナーから既存の社員への専門スキルまで、幅広く網羅できると全ての社員が働きやすくなります。社員が研修を通してレベルアップすると、結果的に企業の業績にも繋がるでしょう。人事は社員の教育面からも、会社を支える役割を持っています。

人事制度の検討

人事制度とは、昇進や報酬などの処遇のことで、社員のレベルアップの仕組みを作っていくことも業務の一つです。人事制度のルールや基準が明確であれば、効率よく社員を評価し成長に見合った報酬を受けることができます。社員はモチベーションを持って仕事をするようになり、会社の成長にも繋がるので人事制度を作ることは大切な業務です。

具体的には能力を評価するためのチェック表を作り、実績を点数化して処遇を判断します。

労務管理

労務管理とは、労働者と使用者の間で結ばれる決まりに関する業務をいいます。具体的には労働時間や休日、賃金やボーナスにまつわる規則のことです。

労務管理は社員の働き方に直結する内容であり、明確な決まりを作り正しく伝達しないとトラブルに繋がります。会社として法律を守り、社会からの信頼を高めるべく適切な運用が必要です。特に給与や勤怠管理の扱いは社員にとって気になる部分なので、入社時に確認し合うことが大切になります。

総務の仕事内容

総務は会社運営をスムーズにするために、幅広い業務を担う特徴があります。企業全体のサポート役であり、事務的な処理から他部署が対応しきれない部分までをカバーするケースも多いようです。

施設・備品管理

会社の建物そのものや、職場で使用される物品の管理は総務の仕事の 一つです。ボールペンやコピー用紙など消耗品の残量を定期的にチェックをし、足りなくなる前に発注を行います。

また、空調やエレベーターの点検や修理依頼など、建物自体の管理や対応も総務が行う業務です。メンテナンスの際のスケジュール調整や、社員への周知なども担います。

文書・契約管理

社内で取り交わされるあらゆる文書や、契約書の管理業務を行います。日頃から書類の整理をしておけば、欲しいデータをすぐに取り出すことができ効率的です。また、正しく保管することで情報漏洩のリスク管理にも繋がります。

特に契約書は法律で保管期間が定められており、期限に達するまでは社内や外部の提携先での管理が必要です。総務が書類の管理をし、会社の情報を正しく保持しておくことでスムーズな会社運営に貢献しています。

庶務業務

一般事務とも呼ばれる庶務業務は、社内全体の効率化を図るために行われます。中でも、営業課などの外勤のある社員をサポートすることが多いようです。会社や配属される部署によって、割り当てられる業務は異なります。代表的な業務は電話対応や郵便物の仕分け、伝票処理などです。

人事・総務の平均年収

人事や総務について調べる際、年収について気になる人は少なくないでしょう。年代別の年収を知っておくと、今後のキャリアを考える上で役に立ちそうです。

人事の平均年収

「転職会議」(※1)が発表した人事の平均年収は517万円でした。以下は、同サイトが公表している人事の平均年収を年代別にまとめた表です。
(※1)参考:転職会議「人事の年収まとめ」

年齢 平均年収
20代前半 369万円
20代後半 449万円
30代 531万円
40代以上 692万円

担当する業務が多岐にわたることから、人事の年収は、ほかの部門よりも比較的高い傾向にあります。中でも研修企画や制度設計などの上流部分にあたる仕事を担当する30〜40代以降は、収入が上がるケースが多いようです。これは人事部門を運営する上で欠かせない業務であり、責任を求められることから年収に反映すると考えられます。

総務の平均年収

「転職会議」(※2)が発表した総務の平均年収は437万円でした。以下は、同サイトが公表している総務の平均年収を年代別にまとめた表です。
(※2)参考:転職会議「総務の年収まとめ」

年齢 平均年収
20代前半 344万円
20代後半 389万円
30代 439万円
40代以上 542万円

総務は企業ごとによって業務範囲が異なるため、給与のばらつきも大きいことが特徴です。営業職のように成果によって給与が変動することはなく、特に必要な資格もないためほかの部署と比べると年収は控えめに感じられるかもしれません。担当する業務によって給与が上がるケースもあり、専門スキルを求められる場合は年収が高くなることがあります。

人事・総務に必要なスキル・経験

人事や総務への就職を考える際、仕事に必要なスキルや経験が気になります。人事と総務には特殊な経験よりも、一般的なビジネススキルが求められる傾向にあるようです。

人事に必要なスキル

採用や配置転換に関わる人事担当者に、どんなスキルが求められるのか気になる人も多いでしょう。ここでは人事に必要とされるスキルについて、具体的に説明します。

コミュニケーション能力

社内外で活躍する人事にとって、人とのコミュニケーション能力は基本スキルといえます。人事は社員や求職者、時には経営陣と意見を交わす場面があるものです。相手の声に耳を傾けつつ、自分の意見を伝える能力が求められます。

また、コミュニケーション能力は、社内のトラブル発生時にも欠かせないスキルです。両者の話を中立的な立場で聞き取り、解決策へ導くことで人事の役割を果たせるでしょう。

調査・分析能力

人事には会社内の課題を発見し、分析を行うことで企業に貢献する能力が求められます。現代の企業において、ハラスメントや過労とそれに伴う事故が多いものです。労働基準法の改定もあり、社員の勤務時間や働き方の改善を進めなければなりません。

現場で起こっている事実を確認するための、ヒアリングスキルを含めた調査能力が求められます。当事者の言い分だけを信じるのではなく、客観的な事実を見極めることが必要な仕事です。

法律知識

人事は社員の働き方を守る立場でもあるため、法律に関する知識を備えていたいものです。労働者の働く時間や賃金、休日などの決まりは法律で規定されています。特に労働基準法やハラスメント、コンプライアンスにまつわる問題が生じると会社のブランドへの影響が心配です。社員が気持ちよく働けるように、人事が労働に関する法律知識を身につけていることが求められます。

ただし、全ての法律知識を頭の中に入れておかなければならないわけではありません。社内で質問が上がった時に、必要な情報へアクセスする方法を知っていることも大事です。

総務に必要なスキル

総務はパソコンへの入力作業だけではなく、情報を集めて適切に処理する能力が求められるでしょう。

パソコンのスキル

資料作成を担当する際、基本的なパソコンソフトを扱うスキルは必須です。人事には社内文書やプレゼン資料などを作成する際に、WordやPowerPointを利用する場面があります。

ただ単に資料を完成させるだけでなく、ショートカット機能などを使い短時間で仕上げるスキルが必要です。正確でわかりやすい資料を作れると、プレゼンでの説得力が増すでしょう。

事務処理能力

総務は他部署がカバーしきれない広範な業務を担当するため、事務処理能力が求められます。多くの業務を時間内に処理するには、優先順位をつけて効率よく作業しなければなりません。期限から逆算してスケジュールを組み、取り組む時間を決めて仕事を進めていくことが必要でしょう。

作業効率化のためにはタスク管理ツールなどを利用すると、自分のすべきことや部門全体の進捗状況がわかり便利です。

情報処理能力

社内のサポート役として、各部署からの情報を適切に集め処理する能力が必要です。具体的には、物品管理の際に在庫数を随時把握し、発注をかけなければなりません。品目によって消費量は異なるので、何がどれだけあるかを把握する必要があります。

備品発注用ソフトやExcelの関数を利用し、必要な物品を正確に注文するスキルが求められるでしょう。

人事・総務からのキャリアパス

人事や総務で経験を積んだ後の、将来的な選択肢が気になるところです。それぞれで培ったスキルを用いて、能力を活かせる領域で働くことができるでしょう。

人事のキャリアパス例

人事のキャリアパス例として、代表的な働き方は以下の通りです。

  • 人事部のリーダー
  • 採用担当
  • 研修担当
  • 総務部など別部署への異動
  • 別企業への転職

人事の将来の方向性は2つに大別され、部門のスペシャリストを目指すか別な部署に異動するかのどちらかです。人事での経験を積んでいると、徐々に専門性の高い業務を任されることが増えます。業務全般を経験しスキルを身につけ、人事課長や部長へキャリアアップを果たすことができるでしょう。

一方で別な部署に異動する場合は、人事特有のスキルが役に立たないことも多く、新たに知識や技術を身につける必要があるケースも少なくありません。しかし人事で培った情報集能力やコミュニケーションスキルは、部署に関係なく活かせると考えられます。

総務のキャリアパス例

総務のキャリアパス例として、代表的な働き方は以下の通りです。

  • 総務部のリーダー
  • 人事、経理、財務部門など別部署への異動
  • 法務担当
  • 別企業への転職

総務も人事同様、経験を積み部門のリーダーへキャリアアップを果たすケースがあります。総務でのスキルは別な部署でも活かせるスキルが多く、他部門での活躍を期待できることが特徴です。事務処理などで培われたデスクワーク能力は、ほかの部署でのスムーズな運営に役立つでしょう。

人事・総務への転職に有利になる資格

人事や総務へ転職する際に有利に働く資格があれば、事前に知っておきたいものです。就職で必須というわけではないものの、学習で得た知識は人事業務の充実に繋がるでしょう。

人事に有利になる資格例

人事には社員のサポート業務があるため、面談時に役立つ知識を備えておくと実務に役立ちそうです。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントとは国家資格の一つで、キャリアプランへのアドバイスができる専門家のことです。将来に向けた職務能力の向上を促す職種なので、人事との親和性が高いといえます。資格取得のために身につけたヒアリング力は、社員面談で悩みを引き出したり、適材適所になる人事異動を考えたりする上で活用できそうです。

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、働く人の問題解決やキャリアにおける相談を行う専門家のことをいいます。企業内での社員のサポート役として、人事が取得するケースが多いようです。社員との関わりが多い人事が資格を取得することで、部門の信頼感に繋がるでしょう。受験資格は、指定の講座を受講すれば誰でも得ることができます。

総務に有利になる資格例

総務には法律をベースに行う業務があるため、必要な知識を身につけておくことで業務をスムーズに行えるようになるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士は国家資格の1つで「労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成」「申請書等の提出代行」「申請等についての事務代理」などを行えるようになります。総務が社会保険労務士の資格を取得すると、業務の範囲が広がるため転職に有利な可能性があるでしょう。

受験資格は学歴や実務経験、ほかの試験の合格実績のうち1つを満たさなければならないので注意が必要です。

参考:社労士試験の難易度|仕事内容や年収・やりがい・将来性について詳しく解説

衛生管理者

衛生管理者とは、社員の健康や衛生にまつわる内容が出題される国家資格です。常時50人以上の労働者が働いている事務所では、衛生管理者を置くことが法律で定められています。該当する会社では必ず選任しなければならないため、取得しておくと会社に貢献できそうです。

受験資格は誰でも得られますが、実務経験の年数が定められているので事前に確認しておきましょう。

参考:衛生管理者試験の難易度|仕事内容や年収・やりがい・将来性について詳しく解説

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人事はコミュニケーション能力や分析力が試される一方で、総務は会社全体のサポート役として事務処理能力全般が求められる傾向です。それぞれの部門に自分がフィットをするかどうかを見極め、スムーズな転職に繋げましょう。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。