ノウハウ

税理士事務所の仕事内容|未経験から税理士補助を目指す方法を紹介

栗田 謙人
更新日:2023/10/23

税理士が開業し、企業の税務代理や税務相談を請け負う税理士事務所。税務以外にも顧客の会計に関わる業務など幅広い仕事を手掛けており、税理士試験未合格者や業界未経験の人が働くことも可能です。

未経験での税理士事務所勤務を希望する場合、業務内容や有利になる資格の種類をチェックしながら就職活動を進めることがポイントになります。

目次
  • 税理士事務所とは
    • 会計事務所・税理士法人との違い
  • 税理士事務所の仕事内容
    • 税理士の独占業務
      • 税務書類の作成
      • 税務代理
      • 税務相談
    • 独占業務以外の仕事
      • 記帳代行
      • 決算業務
      • 巡回監査
      • 税務申告
      • 税務調査の立会
      • 事業継承
      • 経営コンサル
  • 税理士事務所では未経験でも働ける?
  • まとめ
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税理士事務所とは

税理士事務所とは税務に関する業務を担う事務所を指し、税理士もしくは公認会計士が開業しています。企業の財務諸表監査業務を行う公認会計士は税務専門家の税理士としても登録できるため、公認会計士個人や関連法人が開業しているケースでも税理士事務所と呼ばれます。

会計事務所・税理士法人との違い

税理士事務所は会計事務所や税理士法人と混同されがちですが、それぞれ違いがあります。会計事務所や税理士法人の一般的な特徴は以下の通りです。

【会計事務所とは】

会計事務所は税理士事務所と全く異なる存在ではなく、税理士事務所や公認会計士事務所のことを「会計事務所」と呼びます。さらに個人事務所に限らず、税理士法人や監査法人といった会計業務を担う法人もまとめて「会計事務所」と見なされる場合もあります。

【税理士法人とは】

税理士法人は、2名以上の税理士を社員として設立する合名会社に準じる特別法人を指します。税理士事務所と同様、税理士が在籍して税務業務を手掛けていますが、法人勤務の税理士は法人からの給与を所得としています。これに対して個人事務所を開業する税理士は、顧客からの報酬を事業所得として得ています。

税理士事務所の仕事内容

税理士事務所の仕事は、税理士法に基づき税理士登録した人にしかできない独占業務と、それ以外の業務に分かれます。

税理士の独占業務

税理士登録をしている人だけができる独占業務は以下の3つです。

【税理士の独占業務】

  • 税務書類の作成
  • 税務代理
  • 税務相談

税務書類の作成

税務申告のために納税者が税務官公署に提出する確定申告書や青色申告承認申請書、請求書などを、財務諸表をもとに顧客に代わって作成します。税制改正で税務署類の作成が複雑化するケースなどにも専門家として対応し、顧客が法令を順守して納税義務をきちんと果たせるようにサポートします。

税務代理

顧客が節税をしつつも漏れなく確定申告・納税を果たせるように、税務を代行します。具体的には税務官公署に対して納税者が行う申告、申請、請求の税務手続きを顧客に変わって行います。税金の申告・納付のほか、税務署から調査や処分を受けた際の主張や陳述を代理する場合もあります。

税務相談

顧客から税務官公署に対する申告書、申請書作成の相談や税務署からの調査・処分に関する相談を受けます。所得金額・納税額、節税効果を計算したり、納税手続きや税務署への陳述に関する助言を行ったりもします。

独占業務以外の仕事

上記の独占業務のほかにも、税理士事務所では以下のように幅広い業務を担っています。以下の仕事は税理士登録していない人も行うことができ、税理士補助業務と呼ばれています。

【税理士の独占業務以外の仕事】

  • 記帳代行
  • 決算業務
  • 巡回監査
  • 税務申告
  • 税務調査の立会
  • 事業継承
  • 経営コンサル

記帳代行

経理を担当する事務員などを置いていない顧客を対象に請求書、領収書、現金出納の仕訳や会計ソフトへの伝票入力、会計帳簿の記帳などの作業を代行します。

決算業務

顧客の月次・年次決算に関わる一連の業務を担います。顧客の取引に関する資料、会計帳票をもとに財務諸表を作成。さらに株主に報告する決算書類の作成や、法人税・所得税の計算を行います。

巡回監査

顧客の経理担当者が会計帳簿を記帳している場合、顧客を訪問して記帳内容や会計・税務処理が適正かどうかをチェックします。月次の定期監査や期末監査があり、適正に処理されていない場合は必要に応じて指導を行います。

税務申告

財務諸表をもとに、税務署に提出する税務申告書を作成します。実際に申告や不服申し立てを代行する場合もあります。

税務調査の立会

顧客が国税局や税務署から申告・納税に関する税務調査を受ける際に、調査に立ち会います。調査の際には申告漏れや不正申告、脱税の疑いを調べるため、帳簿や決算関係書類などが確認されます。そこで、「修正申告の必要がない」旨の根拠を的確に示すためのサポートをして、顧客の利益を守ります。

事業継承

税理士事務所の顧客の中には後継者不足に悩む中小企業も少なくなく、事業承継がスムーズに進むようにサポートするケースもあります。具体的には以下のようなものです。

  • 事業承継の方法や時期の助言
  • 事業承継の際にポイントとなる自社株の評価
  • 資金調達のサポート
  • 後継者への株式譲渡・贈与に関わる税金の手続き

またM&Aによる事業承継を進める場合の税務や節税の施策を行う場合もあります。

経営コンサル

税理士事務所では税務専門家の立場で経営に関わるコンサルティング業務も行います。具体的以下のようなものです。

  • 決算書をもとに資金繰りなどのアドバイス
  • 株式公開、企業再生の支援
  • M&Aの手法や帳簿類、資産、負債状況をもとに買収予定企業の価値判断に関わる相談
  • 海外進出や国際的な取引、外国人雇用の際に求められる国際税務に関わる課題

税理士事務所では未経験でも働ける?

税理士の業務を担うには税理士試験合格のほか2年以上の実務経験が必須となるため、試験に合格していても実務経験がないと、税理士の独占業務を始めることはできません。ただし、税理士補助業務であれば未経験でも就業が可能です。税理士になるために求められる実務経験は試験合格前でも積めるので、合格を目指しながら実務を税理士事務所で学ぶ人も多いです。

とはいえ、やはり税理士事務所への就職は税理士補助の仕事に慣れている経験者の方が優遇されがちです。まったくの未経験から税理士事務所勤務を目指すのであれば、以下の資格を持っていると有利になります。

【未経験者が取得しておきたい資格】

  • 日商簿記2級以上
  • 税理士のいずれかの試験科目

税理士試験は5科目あり、科目は1つずつ受験することが可能です。そのため5科目すべてを受験していなくても、1科目でも合格を果たしていると評価を得やすいです。

まとめ

税理士事務所の仕事は幅広く、税理士登録していない人が担える業務も多いです。資格取得など未経験でも就職に有利とされる条件もあるので、税理士志望の人や業界に興味のある人も理想的な就業先を探してみてはいかがでしょうか。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。