労務の年収相場は?転職による年収アップの可能性について解説
労務の仕事は従業員の就業状況を正しく把握するために欠かせない業務であり、どの企業でも必要とされています。労務への転職を考える際「労務の平均年収はどのくらいなのか?」や「どのくらい年収をアップできるのか」が気になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では労務の平均年収や年収をアップさせる方法、転職を成功させる方法を解説します。社労士資格を持つ場合の年収も紹介するため、労務への転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
- 労務とは?
- 労務の平均年収は?
- 労務の年収をアップさせる方法
- 社会保険労務士資格を取得する
- 労務管理の業務経験を積む
- 労務管理以外の業務も経験する
- 転職する
- 5年以上の実務経験を積む
- マネジメント経験する
- 志望動機を明確にする
- 未経験の場合:法律・手続きの知識を身につける
- 社会保険労務士(社労士)とは
- 年齢別|社労士の平均年収
- 社会保険労務士は今後も重要はある?
- 営業スキルを身につける
- 人脈を広げる
- コンサルティングに力をいれる
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労務とは?
労務は従業員の給与計算や社会保険に関する業務などを担当し、就業状況を正しく把握するとともに従業員の健康や安全管理を行っています。会社経営に必要なヒト・モノ・カネ・情報の4つの経営資源のうち、ヒトを担当しているのが労務です。具体的な業務としては以下があげられます。
- 勤怠管理
- 給与計算
- 社会保険の手続き
- 年末調整
- 福利厚生の管理
- 安全衛生管理
労務は日々の出退勤や休憩のほか、有給休暇の取得日数や欠勤日数など労働時間の管理を行います。また福利厚生や社会保険の手続きなども担当しており、従業員が不利益を被ることなく健全な環境で働けるようにサポートする存在です。
会社によっては給与計算や年末調整などは経理が担当するケースもあります。従業員のプライバシーに関わる情報を多く扱うため、業務の正確性や丁寧さが求められる職種です。
労務の平均年収は?
労務の年収は企業規模や経験年数によっても左右されます。そのため一概に年収を割り出すことは困難ですが、目安としての一般社員、課長クラス、部長クラスそれぞれの年収は以下のとおりです。
役職 | 年収 |
---|---|
一般社員 | 300万〜450万円 |
課長クラス | 450万〜700万円 |
部長クラス | 700万〜900万円 |
一般社員クラスであれば年収は300万円〜450万円で、500万円には届かない可能性が高いでしょう。課長クラス以上の管理職になれば500万円以上もみえてきます。部長クラスになれば700万円以上が見込めますが、1,000万円までは届かないでしょう。
国税庁が行った令和元年民間給与実態統計調査(※1)によると、全国平均の給与は436万円のため、一般社員クラスであれば全国平均とほぼ同じといえます。管理職クラスになれば平均以上の年収が期待できるでしょう。
(※1)参考:国税庁 長官官房 企画課「令和元年民間給与実態統計調査」
労務の年収をアップさせる方法
労務の年収は会社の規模や役職などの要因のほか、経験年数や資格の有無によっても変動します。労務で年収アップを目指すのであれば、ただがむしゃらに経験を積むのではなく、目標を持って取り組むことが大切です。
では、年収をアップさせるためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。続いて、労務の年収をアップさせる方法を4つ紹介します。
社会保険労務士資格を取得する
労務の年収をアップさせる方法の一つが、社会保険労務士資格を取得することです。社会保険労務士資格は、労働関連法令や社会保障法令の専門家であることを示す国家資格であり、関連法令に基づいて社会保険や雇用に関する書類の作成代行などを行います。
社会保険や公的年金、雇用の分野では唯一の国家資格のため、企業からの需要が高く、資格を取得すれば貴重な人材として年収のアップが見込めるでしょう。社会保険労務士資格についてはのちの「社会保険労務士の資格を持つ場合の平均年収」で詳しく解説します。
労務管理の業務経験を積む
労務管理の業務経験を積むことも、年収アップにつながります。労務は労働や社会保障などに関する法令の知識が必要です。さらに算定基礎届の提出や年末調整など、年に1回のみの業務も複数あります。そのため労務士として一通りの業務を担当できる人材になるには、実務経験が3〜5年は必要です。
さまざまな業務に対応できる人材であれば会社から重宝され、年収もアップしやすいでしょう。特に高度な専門知識や経験が求められる業務が担当できれば、会社から責任ある業務を任せてもらいやすく、管理職クラスへの昇格もありえます。日々行う一般の管理や手続き業務だけでなく、高度な知識や経験が必要な業務にも取り組むことが、年収アップにつながるでしょう。
労務管理以外の業務も経験する
年収アップを目指すのであれば、労務管理以外の業務も経験しましょう。先述したとおり、労務の年収は全職種のなかでも平均的であり、高収入が期待できる職種とはいえません。
また、企業によっては専任の労務をおかず、総務や経理、人事など関連の部署と兼任している場合があります。
労務管理以外の業務も経験していれば、責任の重い業務を任されたり、年収の上がりやすい他の部署へ異動したりして年収アップを目指せるでしょう。
特に年収アップが狙えるのが人事です。人事は経験年数によって担当する業務内容が異なります。採用や雇用の管理などの基本的な業務だけでなく、評価制度の運用や人事戦略の企画など高度な業務経験があれば、そのぶん年収もあがりやすく、転職時にも条件の良い企業への転職が叶う可能性が高くなるでしょう。
転職する
転職して年収アップを目指す方法もあります。現在勤めている企業では年収が頭打ちになっている場合や、年功序列の文化が色濃く残る企業であれば、個人がどれだけ努力しても年収があがらないでしょう。
経験を積んだり業務範囲を広げたりしても年収があがる見込みがない場合は、より高い年収を実現できる企業への転職がおすすめです。転職で年収アップを成功させるには、いくつかのポイントをおさえて準備をする必要があります。具体的にどのようなポイントをおさえるべきなのか、次の「労務の転職を成功させる4つのポイント」で解説します。
労務の転職を成功させる4つのポイント
労務は専門性が高い業務ですが、事務職のため人気が高い傾向にある職種です。そのため、転職が難しい職種ともいわれています。労務の転職を成功させるためには次の4つのポイントをおさえることが大切です。
- 5年以上の実務経験を積む
- マネジメントを経験する
- 志望動機を明確にする
- 【未経験の場合】法律・手続きの知識を身につける
それぞれ詳しく解説します。
5年以上の実務経験を積む
労務の転職を成功させるためには、転職までに5年以上の実務経験を積みましょう。先述したとおり、一人前の労務士になるには3〜5年の実務経験が必要です。
新卒入社であれば社員教育の一環でゼロから育ててもらえる環境があるかもしれませんが、中途採用では即戦力となる人材が求められます。5年以上の実務経験があれば、労務の仕事全般ができる即戦力としての活躍が期待できるため、実務経験をアピール材料として現在よりも年収の高い企業へのチャレンジもできるでしょう。
実務経験をアピールする際には、より高度な業務経験もあるとより効果的です。転職までに幅広い業務に携わり、労務スキルを磨きましょう。
マネジメント経験する
マネジメントを経験することも、転職を成功させるためにおさえておきたいポイントです。労務に限らず、どの職種においても管理職のほうが年収は高くなる傾向があります。管理職への転職でよく重視されるのが、マネジメント経験の有無です。
特に労務は従業員の労働環境を整えたり、勤怠管理をしたりといった「ヒト」に関わる業務を担当します。そのため従業員のマネジメントや業務改善などの経験があれば、管理職としての転職を目指す際のアピール材料となるでしょう。
企業によっては人事や総務などの関連業務もまとめて担当するケースもあります。その場合にも労務全般の業務知識とマネジメント経験があれば、年収アップにつながりやすいでしょう。
志望動機を明確にする
志望動機を明確にすることも、転職を成功させるために大切なポイントです。企業の採用担当者は、応募者を採用することでのメリットや会社との相性、熱意などをみています。そのため、志望動機では「なぜ労務を志望するのか」を明確にし、労務への熱意や自身の強みをアピールすることが大切です。志望動機が曖昧では熱意や本気度が伝わりません。
また、応募先の企業が労務に何を求めているかを調べておくことも大切です。企業研究を行って理解を深めたうえで、労務を志望する理由や活かせる経験・スキル、どのように会社に貢献できるのかを明確に伝えましょう。
未経験の場合:法律・手続きの知識を身につける
未経験で労務に転職する場合は、法律・手続きの知識を身につけましょう。労務は未経験での転職も可能です。しかし、専門知識が必要とされる業務が多いため、未経験では難しいともいわれています。
労務の業務の多くは雇用や社会保障に関わる法律に基づく手続きの実施や管理業務です。そのため、未経験での転職を成功させるためには、法律・手続きの知識を身につける必要があります。
細かな業務内容を覚えるよりも、まずは法律の知識や手続きの概要を勉強しておくことが大切です。
社会保険労務士の資格を持つ場合の平均年収
労務の年収アップに役立つ資格には「社会保険労務士(社労士)」があります。社労士は労務のスペシャリストとして重宝される存在です。年収アップも期待できるため、資格取得を目指している方も多いのではないでしょうか。
しかし「具体的にどのようなことができる資格なのか」や「平均年収はどのくらいか」分からないという方もいることでしょう。続いて、社労士の資格の詳細や年齢別の平均年収、今後の需要を解説します。
社会保険労務士(社労士)とは
社労士は社会保険労務士法に基づいた国家資格であり、「ヒト」に関わる業務のスペシャリストです。労働や社会保障関連の法令に則って業務を遂行し、労働者が健全な環境で仕事に従事できるように支えています。社労士の主な業務内容は以下のとおりです。
- 労働・社会保険手続き
- 労務管理の相談・指導
- 年金相談
- 労働内で発生したトラブルの解決手続き代理
社労士資格を受験するには「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣の認めた国家試験合格」のいずれかを満たしている必要があります。また、社労士試験は難易度が高く、合格率6%台です。10科目のマークシート方式で、合格するためには労務に関する幅広い知識が必要とされます。
さらに、資格取得後すぐに社労士として勤務できるわけではなく、「2年以上の実務経験」か「事務指定講習を修了する」のどちらかを満たしたうえで社労士登録が必要です。
年齢別|社労士の平均年収
社労士の平均年収は約500万円といわれていますが、年齢によって平均年収は異なります。年齢別の平均年収は以下のとおりです。
年齢 | 月収 | 賞与を含む年収 |
---|---|---|
30〜34歳 | 41万円 | 670万円 |
35〜39歳 | 30万円 | 940万円 |
40〜44歳 | 35万円 | 700万円 |
45〜49歳 | 39万円 | 760万円 |
50〜64歳 | 58万円 | 1,380万円 |
70歳〜 | 25万円 | 450万円 |
年齢があがるほど年収はアップする傾向にあり、経験年数が関係していることが読み取れます。
先述したとおり、令和元年の平均給与は436万円です。賞与などによっても左右されますが、社労士の年収は全国平均よりも若干高めといえるでしょう。
また、社労士は大きくわけて「企業勤務型」と「独立開業型」の2つに分かれ、それぞれで平均年収も異なります。独立開業型のほうが年収が高い傾向にあるため、年収アップを目指すのであれば、独立も視野にいれましょう。
社会保険労務士は今後も重要はある?
社労士の業務は基本的に書類作成や手続きなどの事務作業です。職種の将来性を考えた際、今後AIに置き換えられていくのではと心配な方もいるかもしれません。事務作業などのルーティンワークなどはAIの活用が進み業務範囲が縮小する可能性はあります。
しかし、イレギュラーな対応が必要な場合や機械的に処理できない複雑な問題の場合はAIでは対応できないでしょう。また、社労士はコンサルティング業務を担当することもあり、需要も増えています。こうした個々の事情にあわせて対応しなければならない業務もあるため、労務の仕事自体がなくなることはないでしょう。
社会保険労務士(社労士)が年収をアップさせる方法
社労士は企業で勤務している場合、年収が一定の金額で頭打ちになる可能性が高いでしょう。年収をアップさせるためには、独立・開業がおすすめです。しかし独立・開業で成功するためには、労務の業務以外のスキルも身につける必要があります。続いて、社労士が年収をアップさせる方法を解説します。
営業スキルを身につける
年収アップを目指すのであれば、営業スキルを身につけましょう。独立・開業したとしても、すぐに依頼がくるわけではありません。依頼を獲得するために自身を宣伝し、顧客を増やしていく必要があります。
コミュニケーションが苦手だからと営業努力をしていなければ、お客様は来てくれません。開店休業状態になれば年収アップも見込めないでしょう。
もしも営業経験が乏しくどうしたらよいのか分からない場合は、開業前に営業経験を積むのもおすすめです。営業スキルを磨き、顧客獲得に努めましょう。
人脈を広げる
独立・開業を考えているなら、実行刷する前に人脈を広げておきましょう。独立後に安定して仕事を獲得するためには、できるだけ多くの人に自分が独立していることを知ってもらい、集客につなげる必要があります。
人脈が広ければ、独立後の集客に役立つことは間違いありません。独立前からできるだけ人脈を広げる努力をし、独立後も士業交流会などに参加してみましょう。自身と同じく社労士で独立した人だけでなく、他の職種で起業した人と人脈を築くことも大切です。
また、人脈作りで大切なのは相手との信頼関係を築くことです。最初から依頼や集客を目的とするのではなく、人と人との付き合いとして、信頼し合える関係を築けるようにしましょう。
コンサルティングに力をいれる
コンサルティングに力を入れるのも社労士として年収アップを目指す方法の一つです。社労士の職務は大きく分けて以下の3つに分かれます。
- 1号業務:健康保険や雇用保険など加入手続き、労使間紛争の代理人業務
- 2号業務:就業規則の作成・改定、従業員名簿など労働社会保険関係法令に基づいた必要な帳簿書類の作成
- 3号業務:コンサルティング業務
コンサルティング業務ができる社労士は企業で重宝される存在になれます。
企業の労務や社会保険関連の業務、人事などのコンサルティング業務ができるようになれば、勤務型の社労士であっても年収アップが期待できるでしょう。
実務経験を積んで労務での年収アップを成功させよう
本記事では労務の年収や年収アップを目指す方法を解説しました。労務の年収は全国平均とほぼ同じですが、社労士資格の取得や管理職クラスへの転職などで年収アップが目指せます。
転職で年収アップを目指すのであれば、実務経験を積み、労務以外の人事や総務に関連する業務も経験しましょう。また、社労士としてコンサルティングに力をいれることも、年収アップにつながります。
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2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。