ノウハウ

ビジネス会計検定とは?取得するメリットや難易度、資格の活かし方についても解説

栗田 謙人
更新日:2023/08/28

ビジネスの世界で成功を収めるためには、経営者やビジネスプロフェッショナルとしての資格が必要不可欠です。そんな中注目されているのが「ビジネス会計検定」です。経営者はもちろん営業や株式投資にも活かせる資格として、多くの人々に支持されています。

本記事ではビジネス会計検定を取得するメリットや難易度、資格の活かし方についても解説。さらに、身につけたスキルを活かす方法もお伝えします。経営者を目指す方やビジネスに興味を持つ方、そして転職やキャリアアップを考えている方々にとって、ビジネス会計検定は新たな可能性を広げるステップとなることでしょう。

目次
  • ビジネス会計検定とは
    • 簿記との違い
    • 簿記との共通点
  • ビジネス会計検定を取得するメリット
    • 1.就職や転職で評価される
    • 2.企業分析ができるようになる
    • 3.キャリアアップに役立つ
  • ビジネス会計検定の到達目標と出題内容
    • 3級:到達目標と出題内容
    • 2級:到達目標と出題内容
    • 1級:到達目標と出題内容
  • ビジネス会計検定の難易度と必要な勉強時間
    • 3級:難易度と必要な勉強時間
    • 2級:難易度と必要な勉強時間
    • 1級:難易度と必要な勉強時間
  • ビジネス会計検定の実施日と受験料
  • ビジネス会計検定の勉強方法
  • ビジネス会計検定はどんな人におすすめ?
    • ①経理・会計・財務
    • ②営業
    • ③経営者
  • ビジネス会計検定の活かし方
    • 日商簿記とのダブルライセンス
    • 株式投資
  • ビジネス会計検定は転職やキャリアアップにも有利
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ビジネス会計検定とは

ビジネス会計検定(※1)は2007年から始まった資格試験で、財務諸表の知識や分析力を評価します。3級から1級までのレベルがあり、初心者から経験者まで幅広く対応している資格です。

ビジネス会計検定を取得することで企業の財務状況を理解し、適切な経営判断を下す能力が身につきます。また、自身のスキルを証明しキャリアアップにつなげることも可能です。
ビジネス会計検定は、経営に関わるすべての人々にとって有用な資格と言えるでしょう。

(※1)参考:大阪商工会議所「ビジネス会計検定試験」

簿記との違い

ビジネス会計検定と簿記はどちらも会計に関する資格ですが、その特性は大きく異なります。

簿記は経理業務に特化したスキルを身につけるための資格です。一方、ビジネス会計検定は財務諸表の分析スキルを問う資格で、経理だけでなくビジネス全般に活用しやすい知識を得ることができます。

簿記のスキルは企業の収支を正確に記録し、経営者に情報を提供するために必要です。しかし、ビジネス会計検定では財務諸表をどのように解釈し、ビジネスの意思決定に活用するかという視点が求められます。

簿記は「会計情報を作る」スキルであり、ビジネス会計検定は「会計情報を活用する」スキルと言えます。これらは互いに補完する関係にあり、ビジネスの現場で活躍するためには両方のスキルが求められます。

簿記との共通点

ビジネス会計検定と簿記は、どちらも会計の知識を有していることを証明しビジネスに役立てる能力を示す資格です。しかし、ビジネス会計検定と簿記それぞれの資格が重視する領域は異なります。

簿記は財務諸表の作成や取引記録に重きを置く一方、ビジネス会計検定は財務諸表の分析や企業状況の把握に焦点を当てています。

また、簿記は個人事業主や専門職に有利であり、ビジネス会計はサラリーマンや管理職向けの実学的な知識を提供する資格です。

ビジネス会計検定を取得するメリット

ビジネス会計検定を取得すると以下のメリットがあると考えられます。

  • 就職や転職で評価される
  • 企業分析ができるようになる
  • キャリアアップに役立つ

それぞれ見ていきましょう。

1.就職や転職で評価される

ビジネス会計検定は、就職や転職の際に大きなアピールポイントとなります。特に2級以上の取得者は、その知識とスキルをより評価されるでしょう。それは、ビジネス会計検定2級は財務諸表の理解だけでなく、それを活用したビジネス判断ができる能力を証明する資格と言えるためです。

履歴書の資格欄において、評価されるのは2級以上です。つまり、ビジネス会計検定を武器にするなら2級の取得が目指すべきゴールと言えるでしょう。ビジネス会計検定の2級以上を持つことで、あなたの市場価値はさらに高まります。

2.企業分析ができるようになる

ビジネス会計検定を取得すると、企業の財務諸表を読み解く力が身につきます。財務諸表を読み解く力は、企業の業績の実情を自分で判断できるようになるというメリットとなります。

  • 企業の健全性を判断できる
  • 取引先企業の信頼性を確認できる
  • 転職活動の際に自分が応募する企業の財務状況を理解できる
  • 面接でのアピールポイントになる

このスキルはビジネスの現場で直接活かすことができ、ビジネス会計検定の取得は大きなアドバンテージとなるでしょう。

3.キャリアアップに役立つ

ビジネス会計検定を取得することで、会計学の基本的な知識を身につけることができます。そのため、ビジネス会計検定は自分のキャリアを一段階上げるための強力なツールとなるでしょう。

多くの企業が会計の知識を持つ人材を求めているため、会計学を身につけることは、転職を考えている方にとって大きなアドバンテージとなります。また、ビジネス会計検定は独立や起業を考えている方にも有益です。自分のビジネスを始める際、会計の知識があると財務状況の把握や税務処理、経営判断に大いに役立ちます。

これらのタスクを自分でこなすことができれば、外部の専門家に依存することなくビジネスをスムーズに運営することが可能になります。

ビジネス会計検定の到達目標と出題内容

ビジネス会計検定の取得の到達目標と出題内容について3級、2級、1級とそれぞれ解説します。

3級:到達目標と出題内容

ビジネス会計検定3級の到達目標は、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につけることです。財務諸表とは企業の経済活動を数値で表したもので、企業の健全性や成長性を判断する重要なツールとなります。

3級では、財務諸表の構造や読み方に関する基礎知識を学びます。また、財務諸表の基本的な分析も学習の一部となります。

ビジネス会計検定3級を習得することにより企業の財務状況を理解し、適切な判断を下す能力が身につきます。ビジネス会計検定3級は財務諸表を理解し、それを活用する力を身につけるための資格と言えます。

2級:到達目標と出題内容

ビジネス会計検定2級の到達目標は、財務諸表を分析する力を身につけることです。具体的には企業の財務状況を理解し、その情報を活用してビジネス上の意思決定を行う能力が求められます。

ビジネス会計検定2級の出題内容としては、3級の内容に加えて連結財務諸表やキャッシュフロー分析、損益分岐点分析等です。連結財務諸表は、企業グループ全体の財務状況を把握するためのもので、子会社や関連会社の情報も一緒に考慮します。

キャッシュフロー分析は企業の現金の流れを追い、その健全性を評価します。損益分岐点分析は、企業が利益を出すために必要な最低限の売上高を計算する手法です。

これらの知識を身につけることで企業の財務状況を深く理解し、より具体的なビジネス戦略を立てることが可能になります。ビジネス会計検定2級は、より実践的なスキルを身につけるための資格です。

1級:到達目標と出題内容

ビジネス会計検定1級の目指す到達目標は、会計情報を総合的かつ詳細に分析し企業評価できる力を身につけることです。これは、企業の健全性や成長性を評価するための重要なスキルとなります。

ビジネス会計検定1級では、2級と3級で得た知識を基に、さらに深い理解と応用力が必要です。会計情報におけるトータル的な知識が必要となり、財務諸表だけでなく投資に関わる各種ディスクロージャーや計算書類に関する知識も含まれます。

また、1級では企業の財務状況を正確に理解し、適切な判断を下すための分析力が求められます。財務諸表の読み解き方だけでなく、その背後にある会計原則や規則、さらには企業のビジネスモデルや業界環境を理解することも必要です。

ビジネス会計検定1級は企業の経営者や投資家、さらには会計や財務のプロフェッショナルにとって、非常に価値のある資格となります。

ビジネス会計検定の難易度と必要な勉強時間

ビジネス会計検定の取得の難易度と必要な勉強時間について3級、2級、1級とそれぞれ解説します。

3級:難易度と必要な勉強時間

ビジネス会計検定3級の合格率は約67%と、比較的高めの数字が出ています。しかし、これは単に試験が易しいからではなく、しっかりと準備をした受験者が多いことを示しています。

勉強時間の目安としては50〜100時間が一般的です。あくまで目安であり、個々の理解度や学習速度により変動します。また、自己学習だけでなく、専門の学習塾やオンラインコースを利用することで効率的に学習を進めることも可能です。

ビジネス会計検定3級を取得することで基本的な会計知識を身につけ、ビジネスの現場で活用することができます。

2級:難易度と必要な勉強時間

ビジネス会計検定2級の合格率は約52%と、3級よりも少し低めの数値です。勉強時間の目安は100〜150時間とされていますが、あくまで目安で個々の理解度や学習スタイルによります。

ビジネス会計検定2級を目指す方は会計の基礎知識を一層深め、より具体的なビジネスシーンでの応用力を身につけることが求められます。そのため、しっかりとした学習計画を立て、コツコツと努力を積み重ねることが大切です。

ビジネス会計検定2級は、会計の知識を深め、ビジネスシーンで活かすための一歩となります。

1級:難易度と必要な勉強時間

ビジネス会計検定1級の難易度は、他の級と比べて一気に高くなります。合格率は20.5%となっており、高難易度の資格といえるでしょう。

1級を目指す場合の必要な勉強時間の目安は300〜500時間とされており、ビジネス会計の深い理解と、それを活用するためのスキルが求められます。

ビジネス会計検定1級は難易度が高い一方で、その価値も高い資格と言えます。初心者の方でも、しっかりとした計画を立てコツコツと努力を重ねることで合格の道は開けるでしょう。

ビジネス会計検定の実施日と受験料

ビジネス会計検定は年に2回、全国で一斉に開催されます。10月と3月の日曜日に全国17カ所の会場で試験が行われます。

しかし、1級については年に一度3月のみの開催となります。1級は最高難易度の試験で、その難しさを物語るように年に一度しかチャンスがありません。

受験料については、3級が4,950円(税込)、2級が7,480円(税込)、そして1級が11,550円(税込)となっています。

ビジネス会計検定の勉強方法

ビジネス会計検定の勉強方法について、重要なポイントをいくつか紹介します。

まず、公式テキストの内容が試験範囲となるため、これを網羅することが基本です。公式テキストは試験の出題範囲を詳細にカバーしており、各トピックについての理解を深めることができます。

既に会計知識を持っている人は、過去問題集から取り組むことがおすすめです。過去問題を解くことで、試験の形式や出題傾向を把握することができます。

また、わからない箇所が出てきた場合は公式テキストを参照することで理解を深めることができます。しかし、ただ問題を解くだけではなく、解答の理由や背後にある原理を理解することも重要です。

以上の方法を組み合わせることで、効率的にビジネス会計検定の勉強を進めることができます。公式テキストの理解と過去問題の活用を中心に、自分の理解度に合わせて学習を進めていきましょう。

ビジネス会計検定はどんな人におすすめ?

ビジネス会計検定はどんな人におすすめなのかを解説します。

①経理・会計・財務

ビジネス会計検定は、経理・会計・財務の領域で働く方々にとって大変有益な資格です。ビジネス会計検定は財務諸表の理解を深め、自社の経済状況を正確に把握する能力を身につけることができるからです。

財務諸表を読み解くことで企業の収益性、流動性、安定性などを評価することが可能になります。これらの情報は、経営者に対する適切なアドバイスを提供するための重要な基盤となります。

さらに、ビジネス会計検定は経理・会計・財務の専門性を証明するものであり、キャリアアップや転職活動においても強力な武器となるでしょう。資格を持つことで、自身のスキルを明確に示すことができ、他の候補者と差別化することが可能となります。

経理・会計・財務の領域で働く方々にとって、ビジネス会計検定は大変おすすめの資格と言えます。

②営業

ビジネス会計検定は、営業の方々にとっても非常に有用な資格です。営業担当者は取引先とのビジネスにおいて、相手企業の財務状況を把握する必要があります。

財務諸表の読解力を身につけることで、営業担当者は取引先の財務状態の良し悪しや変化を正確に読み取ることが可能です。これにより、今後の取引判断や営業戦略の立案に役立ちます。

また、取引先の財務状況を把握することでリスクを適切に評価し、トラブルや損失を回避することも可能になります。

以上のように、ビジネス会計検定は営業の方々にとっても非常に役立つ資格であり、営業戦略の立案や取引先との信頼関係構築に大きく寄与します。

③経営者

ビジネス会計検定は、経営者を目指す方にとって非常におすすめの資格です。経営者は企業の財務状況を正確に理解し経営判断を行う必要があります。

財務諸表の分析力や理解力は、経営者が企業の健全性や経済的な状況を把握する上で欠かせないスキルです。ビジネス会計検定試験では、財務諸表の内容や指標を詳細に学び、企業の健全性や収益性、財務状態の変化を読み取る力を養います。

さらに、経営者は企業のリスクを適切に評価し、適切な対策を講じる必要があります。ビジネス会計検定の取得により、財務リスクの把握やリスク回避策の立案ができるでしょう。

経営者を目指す方は、キャリアを築く前に早めにビジネス会計検定を取得することをおすすめします。

ビジネス会計検定の活かし方

ビジネス会計検定の活かし方について以下の2つのメリットについて解説します。

  • 日商簿記とのダブルライセンスを取ることのメリット
  • 株式投資に役立つ

日商簿記とのダブルライセンス

ビジネス会計検定と日商簿記のダブルライセンスを持つことは、経営者やビジネスパーソンにとって非常に有益です。

ビジネス会計検定と日商簿記、両方の資格を持つことで、財務諸表の分析力が向上し企業の経営実態を正確に把握できます。信頼性のある財務情報を得ることで重要な意思決定をサポートし、転職やキャリアアップにも大きなアドバンテージとなります。

ビジネスの成長と企業の発展に向けて、ダブルライセンス取得を検討する価値があるでしょう。

株式投資

株式投資では、ビジネス会計検定を学ぶことで得られる財務分析のスキルが、大いに役立ちます。ビジネス会計検定では、企業の財務諸表を理解し、経営状況を把握する力が養われます。

これにより、株式投資においても企業の健全性や成長性を見極める能力が高まるでしょう。経済情勢や企業のニュースを的確に読み取り、投資判断に反映させることが可能となります。

ビジネス会計検定を取得することで、株式投資における成功確率が向上し、将来の資産形成やリターンを見据えた戦略的な投資が実現できるでしょう。

ビジネス会計検定は転職やキャリアアップにも有利

ビジネス会計検定は、経営者、営業、株式投資など多岐にわたる分野で必要なスキルを提供する資格です。

ビジネス会計検定は、企業の財務状況を理解し経営実態を把握するための必須スキルとなります。営業や株式投資にも活かせるため、戦略的な判断やリスク回避に役立つ資格です。ビジネス会計検定は転職やキャリアアップにも有利であり、将来の成功に繋がる資格と言えます。

自分のキャリアに新たな可能性を広げるために、ビジネス会計検定へのチャレンジをぜひ考えてみてください。経営者を目指す方はもちろん、営業や株式投資に興味のある方にも役立つ資格となるでしょう。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。