Excelスキルは経理の業務で必要?効率化できる関数や機能の一覧を紹介!
経理業務とExcelの知識は、一見無関係なようでありながら、実は密接な関わりがある分野です。Excelの基本的な知識を身につけることで、日常の経理業務を効率化し、さらには転職で役立てることもできます。
本記事では、なぜExcelスキルが経理業務に役立つのかを解説するとともに、初心者に役立つExcelスキルの基本知識、Excelスキルと転職活動の関係性について説明します。
- 経理業務でExcelが必要な理由
- 経理業務で使えるExcel機能一覧と使い方
- フィルター
- 並び替え
- ピボットテーブル
- マクロ
- SUM
- SUBTOTAL
- COUNT
- VLOOKUP
- IF
- RANK
- AVERAGE
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経理業務でExcelが必要な理由
表計算ソフトのExcelは、互換性が高く、その他のソフトなどとも連携しやすいため、「営業部署での数値管理」や「総務部関連のデータ管理」など、さまざまな分野で使用されています。
経理の仕事においても、基本業務を行う上でExcelは欠かせない存在となっています。
【Excelを要する経理事務例】
- 伝票の整理:お金や商品の流れなど、事業上の根幹となる記録と文書管理の業務。
- 仕分け入力:顧客や取引先との間で動くお金の動きを一件ごとに記録する業務。
- 現預金管理:会社の保有する現金・預金の残高を管理する業務。取引先などによる手形・小切手の引き落としの際に預金残高の不足などが生じないようコントロールする、という役目も帯びており、極めて重要度は高い。
- 経費処理:事業で売上を出すために支出した費用を管理する業務。経費処理は会計年度ごとに納める税額にも関わる。
- 月次・年次決算:月毎・年毎の企業の財務をまとめる業務。決算は企業内部での分析材料として使われると同時に、投資家や銀行などのステークホルダーへ報告するもので、正確に作成しなければならない。
会社によってはExcelではなく専用の会計ソフトを使用していることもありますが、Excelのみを用いている会社も多く存在します。
経理業務で使えるExcel機能一覧と使い方
経理業務で使えるExcelの機能は以下の通り。少し練習するだけで使える、簡単な機能です。
Excelの機能 | できること |
---|---|
フィルター | データの絞り込みや条件に基づくデータの表示を行う |
並べ替え | データの並び替えを行い、昇順や降順で表示する |
ピボットテーブル | 大量のデータから要約や集計を行い、分析結果をまとめて表示する |
マクロ | 自動化のためのプログラムを作成し、繰り返し処理や複雑な操作を自動化する |
フィルター
大量のデータ項目の中から、特定の条件に当てはまるデータ項目だけを選択的に抽出できる機能です。
例えば、ある部署で発生した経費処理において、その部署に複数名いる担当者のうち、「特定の人物」が計上した費用について抽出できます。
この例では具体的な操作方法として、例えば経費項目ごとに入力されている計上した人の名前(「田中」や「佐藤」など)の中から、担当者欄にフィルターをかけて「田中」を抽出することで、田中さんが計上した経費の項目に関するデータだけを表示することが可能です。
並び替え
Excelの並べ替え機能を使うことによって、都合に合わせた順番にデータを並べ替えることができます。
例えば、「それぞれの経費がいつ発生したかを、時系列に並べ替えて分かりやすく整理する」など場合に役立ちます。
ピボットテーブル
関数や数式を用いないピボットテーブルの機能を活用することで、膨大なデータを特定の条件に沿って集計・分析することができます。
例えば、「経費の金額が大きい順に並べ替え、どの経費項目が多く発生しているのかを分析する」という活用方法が考えられます。
マクロ
マクロを使うことによって、人間が手作業で行うと膨大な時間と労力がかかるExcel上の作業を、自動的に処理できるようになります。
例えば、部署ごとの売上を手作業で集計しなくとも、それぞれの営業担当者が自身の売上を(マクロを組んだ)Excel上に打ち込むことで、自動的に集計できます。
経理業務で使えるExcel関数一覧と使い方
経理業務で使えるExcel関数一覧は以下の通りです。Excelのシートに入力すると、テンプレートのように効率よく業務を進められます。
経理に便利なExcel関数 | できること |
---|---|
SUM | 指定した範囲のセルの合計値を計算する |
SUBTOTAL | フィルタリングやグループ化されたデータを基に集計を行う |
COUNT | 指定した範囲内に含まれるセルの数を数える |
VLOOKUP | 指定した値に対応するデータを別の範囲から参照して取得する |
IF | 指定した条件に基づいて結果を返す条件分岐関数を使用する |
RANK | 指定した値を範囲内での順位に変換する |
AVERAGE | 指定した範囲のセルの平均値を計算する |
SUM
指定した範囲の数値の合計を自動計算します。この機能の活用方法としては、例えば「ある地方店舗の売上の合計値を知りたい時」などに有効です。
例として、関東地方の店舗の売上を知りたい場合は、47都道府県が北から順に並んでいる表データの中から、関東地方の都県をドラッグして選択した上で、合計値を出したいセルを選択し、「オートSUM」ボタンをクリックすることで、セルに関東1都6県の売上合計値を表示することが可能です。
SUBTOTAL
指定した範囲の数値の集計値を、自動で計算可能です。「集計」とは、「平均・個数・最大値・最小値・合計・偏差値」など11種類の集計方法を含みます。
例えば、「全店舗の中で最大の売上を出している店舗を知りたい」場合、関数の結果を出力したいセルに以下の関数を入力してください。
=SUBTOTAL(集計方法,指定範囲)
上記の関数の「集計方法」には、「平均・個数・最大値・最小値・合計・偏差値」など11種類の集計方法の中から、「最大値」に対応する数値「5」を入力します。(※集計方法ごとに、対応する数値が存在します)
COUNT
指定した範囲から条件に合う項目の個数を数えます。例えば、「全店舗の中から、研修に参加した社員の数を数えたい」というケースでは、関数の結果を出力したいセルに以下の式を入力してください。
=COUNT()
カッコの中に各社員の研修参加日などが入力されたセルの範囲を指定します。この操作により、日程が入力されていない空白のセルはカウントせず、日程が入力されているセルのみを数えられ、研修に参加した人数をカウントすることが可能です。
VLOOKUP
表を縦方向に検索し、一致した値と同じ行にある値を返します。例えば、ある社員の社内試験の点数を把握したい場合などにこの関数を役立てることが可能です。 まずは社員試験結果の中から、各社員の社員番号に紐づいた点数を参照し、合否の結果を表示したいセルに以下の式を入力します。
=VLOOKUP(社員番号,セルの検索範囲,一致した値の行における列番号,FALSE)
この操作により、当該社員の試験点数を指定のセルに表示させられます。
IF
指定した条件に一致している場合と一致していない場合とで、それぞれ別の値を表示可能です。この場合、以下の関数を用います。
=IF(条件,真の場合に表示させたい値,偽の場合に表示させたい値)
「条件」は、「>」「<」「=」のいずれかを用いて設定します。例えば、「A1セルの中身が100という数値より大きいこと」を条件としたい場合は、「A1>100」とします。この操作により、特定のセル(上の例ではA1)が100より大きい場合は「真の場合に表示させたい値」を、100より小さい場合は「偽の場合に表示させたい値」を表示することが可能です。
例えば、「売上ノルマ100万円を達成している営業担当者」と「達成していない営業担当者」とをそれぞれ把握したいケースの場合、結果を表示させたい列に以下の関数を入力します。
=IF([営業マンの売上金額が入力されているセル]>=1000000,達成,未達成)
これにより、営業マンの売上金額が100万円以上の場合は「達成」、100万円未満の場合は「未達成」と表示されます。
RANK
ある数値が全体の中で何番目に大きいか(あるいは小さいか)を算出可能です。RANK関数を使う場合は、結果を出したいセルに以下の式を入力します。
=RANK(数値[全体の中のランクを知りたい数字],参照,順序)
「順序」に関しては、入力しないことも可能です。その場合、表示される順序は降順(大きい数字から上に並ぶ)となります。
例えば「月間売上100万円の営業担当者の売上順位について知りたい」場合は、数値に「1000000」、参照は「全営業担当者の売上金額が入力されているセルの範囲」、順序は(降順で表示したい場合は)「0」と入力、あるいは何も入力せずに空白としてください。なお、昇順で表示したい場合は0以外の数字を入力します。
AVERAGE
平均値を算出可能です。例えば、部署別の経費の平均値を知りたい場合、計算結果を出力したいセルに以下の関数を入力します。
=AVERAGE(各部署の経費金額が入力されているセルの範囲)
手動の場合、それぞれ部署の経費金額を抽出して合計し、部署の総数で割るという操作をする必要がありますが、AVERAGE関数を用いれば瞬時に平均値を求められます。
経理業務で使えるExcelショートカットキー一覧と使い方
経理業務で使える、便利なExcelショートカットキーをまとめました。
Excelで便利なショートカットキー | できること |
---|---|
Ctrl+C | セルのコピー |
Ctrl+X | セルの切り取り |
Ctrl+V | セルの貼り付け |
Ctrl+Z | 元に戻す |
Ctrl+F | 検索 |
Ctrl+A | 全選択 |
Ctrl+D | セルの内容を下にコピー |
Ctrl+R | セルの内容を右にコピー |
Ctrl+: | 現在の日付を挿入 |
Ctrl+; | 現在の時刻を挿入 |
Ctrl+Home | シートの先頭に移動 |
Ctrl+Shift+= | セルの上に行を挿入 |
Excelスキルは経理業務への転職時に有利
経理の仕事は、さまざまな数字の管理が求められ、企業活動を支える重要な業務です。未経験者・初心者を募集している企業もあり、誰でも応募できます。
経理というと、簿記や会計の知識が必要なイメージもありますが、実際は応募時に資格が必須という求人は少なめです。ただし、必須ではないとしても、関連分野の資格を持っておいたほうが選考上有利になることは多々あります。
簿記や会計の知識以外で、意外に評価の高いスキルがExcelです。普段から積極的にExcelを使い、慣れておくとよいでしょう。
Excelスキル以外で経理関連の業務に応募する上で評価されることの多い資格についても紹介します。
【経理未経験者が転職時におすすめのスキル・資格】
- マイクロソフトオフィススペシャリスト:Excelをはじめ、WordやPowerPointなど、Microsoft社のソフトを使用してオフィス業務をこなすスキルを示す資格。実用的なスキルを証明する資格でありながら、合格率はおよそ80%と予測され高めの数値となっている。なおかつ月1回以上の高頻度で試験が実施されていることから、比較的取得しやすい資格であると言える。
- 簿記検定3級:“会社の家計簿”とも言われる簿記の知識を証明する検定。簿記知識は会計スキルの基礎であり、公認会計士志望者も受験勉強の一環として簿記検定を多く受けている。簿記検定1級は難関資格として知られるものの、3級の合格率は45.8%(2022年6月実施)と、およそ2人に1人は合格できる資格。簿記検定3級は年に3回実施されているため、たとえ不合格となったとしても、3~4ヶ月後のスケジュールで再受験可能となる。
- ビジネス会計検定:会計スキルの中でも、決算書など財務諸表の理解や分析に重点を置いた検定。1級から3級まであり、3級の合格率は60〜70%、2級の合格率は30〜50%と試験の実施回によってバラツキがある。試験は年2回実施されており、半年に1回の頻度で受験可能。
Excelは経理への転職を有利に進めてくれるスキル
Excelは世界中の企業のさまざまな業種に導入されており、経理業務にも密接に関わっています。Excelスキルを身につけることによって、複雑な計算や大量のデータ処理を短時間かつ自動で実施することが可能です。転職にも有利になるため、経理職の分野に関わる多くのビジネスパーソンが習得を目指しています。
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経理のポストを募集している求人は数多くありますが、その中から自分自身にあった求人を見つけ出すのは意外と難しいものです。転職を成功させるためには、業界知識が深く、転職志望者にピッタリの案件を提示できるコンサルタントの協力を得ることが欠かせません。
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2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。